ポケモンの保存は一気に240匹にまで増加
この仕様変更により、ポケモンの保存可能数の上限は、一気に240匹にまで増加しました。そして、事実上この仕様変更がポケモンというゲームの最終目的は「コレクション」であると、決定した瞬間ともいえるでしょう。ゲームの最終目的はあくまで「ポケモンずかん」のコンプリートであり、シナリオのクリアはその導入の道筋のような役割になりました。
これこそまさに、ゲーム史にポケモンがもたらした、最も大きな革命です。ポケモンの大ヒットを受けて作られた直接的なフォロワーとしては『デジタルモンスター(*5)』(1997年6月、バンダイ。これはキーチェーンゲーム『たまごっち』の系譜でもあります)、『メダロット(*6)』(1997年11月、イマジニア)、『ドラゴンクエストモンスターズ』(1998年、エニックス)など様々なシリーズがありますが、このような「モンスターを仲間にして戦わせるRPG」という狭いカテゴリーを遥かに超え、「どうぶつの森」シリーズのような生活系ゲームや、多くのオンラインゲーム、スマホ用のソーシャルゲームなど、「最終目的はコレクションであり、クリアによる終了のないゲーム」が大衆に受け入れられる文化的下地を築いたのは、ポケモンが確立したこのゲームスタイルなのです。
*5 人工知能を持ち、仮想空間「デジタルワールド」に住む生命体「デジタルモンスター」を軸とするメディアミックス群。その出発点は、キーホルダーサイズ玩具「たまごっち」(同じくウィズ企画)にバトル要素を加えた「戦うたまごっち」である。その後、家庭用ゲーム版『デジモンワールド』(1999年)がRPGとしてヒット。複数収集や図鑑収集といったポケモン的要素が強まったのは、『デジモンストーリー』(2006年)以降である。
*6 メダルと呼ばれるAIチップを搭載したロボット「メダロット」をパーツ交換でカスタマイズし、「ロボトル」で戦うゲームボーイ用RPG。近未来の日本を舞台に、メダロッター(操縦者)がロボトル大会や事件に挑む。収集・育成・バトルや図鑑要素に加え、2バージョン(カブト/クワガタ)展開もあるためポケモンフォロワーに違いないが、集めるのは腕・足・頭のパーツであり、メカ要素が強い点で差別化に成功している。テレビアニメ(第1期)は根強いファンを持つ。
また、プレイヤーたちへ自然に交換を促すため、『ポケットモンスター赤』『ポケットモンスター緑』という、一部登場ポケモンの種類や、出現比率が部分的に異なる2バージョンのカートリッジを同時発売したことも、ソフトウェア内部のゲームデザインを超えた、プロダクトレベルでの体験デザインとして、挑戦的かつ画期的な試みでした。
ここもやはり、SRAM容量の件と同様、生産流通のコストにダイレクトに影響する部分であるため、任天堂側のチャレンジ精神があってこそ成り立った仕様といえるでしょう。
