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優勝目前に復習したい、黄金時代の胴上げとビールかけ秘話

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/30
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ファンがビールかけに参加できることも

 地元でのビールかけには、様々な形でファンも参加できることもある。以前、球団事務所の3階にある宴会場で行った時、バルコニーの下に大勢のファンが詰めかけていた。会場内で一通り騒いだ後、選手たちは代わる代わるそのバルコニーからファンたちにビールを浴びせるのだ。瓶ではもどかしいので、もっぱらバケツに入れてそれをまき散らす。そのたびに歓声を挙げて喜びを表現する光景は、まさにファンとの一体感が伝わってくる。

 90年のルーキーイヤーにビールかけに参加した鈴木哲(現編成部)の言葉が印象に残っている。「やっぱりプロとアマ(熊谷組)では違いますねえ」と。当然、ビールの量のことかと思ったが、「アマの時は、後片付けを自分たちでモップを持ってやりましたけど、プロはスタッフがやってくれますから」。当たり前のことだが、アマの選手たちのその姿を想像するだけでも微笑ましい。

 こんな楽しいイベントも、何年も続くと感激も薄れてしまうもの。選手会長の音頭の前に喜びのあまりフライングを犯して誰かが始めてしまうのがいつもの流れも、黄金期の最後の頃はみんなが比較的冷静に。さて、と始まればそれなりに盛り上がるが、時間も短めになる。これはリーグ優勝時のこと。次なる日本一が最終目標ということが誰もが分かっているからこそのものなのだ。まあ、贅沢といえば贅沢な話。

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 西武は29日にマジック「1」で迎えた地元最終戦に敗れ、20年ぶりの地元胴上げは叶わなかった。これで胴上げ、ビールかけは30日からの札幌での日本ハム戦以降となった。ビールの本場だが、気温が低いのでくれぐれも風邪に注意を。

札幌での胴上げ濃厚の辻発彦監督 ©中川充四郎

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