廃線を活用する計画もあった

 都道455号線を渡った先の住宅地の中を、大きくカーブを描いて進む細い道。ここが廃線跡であろうことは、地図と照らし合わせなくてもすぐにわかる。

 

 この道を辿ってゆくと、最後は味の素フィールド西が丘というサッカー場の中へ消えてゆく。その奥を見れば、トップスポーツ選手の練習拠点・味の素ナショナルトレーニングセンターが聳えている。ちょうどこの場所が、専用線の目的地・東京陸軍兵器補給廠だったのである。

 

 赤羽駅西口の高台に、戦後拓かれたマンモス団地群。それまでは軍隊の将兵ばかりが暮らしていた町が、急に人口数万人規模の住宅地に変貌した。だから、廃線跡を活用しようという動きもあったのだとか。

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 東京陸軍兵器補給廠跡地を車両基地として、廃線跡はそのまま地下鉄の引き込み線。途中の桐ヶ丘に駅を設ける……という計画がそれだ。

 

 その地下鉄は、現在の東京メトロ南北線。結局、廃線活用計画は地元の反対などもあって雲散霧消し、南北線は赤羽駅東側の赤羽岩淵駅を終点として開業している。

 そして、東京陸軍兵器補給廠跡地には車両基地ではなく、国立のスポーツ施設が建設されたのだ。

 

わずか2キロに凝縮された近代日本の歩み

 こうして2kmとちょっとの専用線の廃線跡を辿ってみると、そこには軍都としての歴史を礎にしつつも、戦後日本の住宅のモデルを築き、さらには近年メダルラッシュに沸く日本のスポーツ界のレベルアップにも大いに貢献したスポーツ施設へとたどり着く。

 近代日本の歩みをそのまま追いかけるような、そんな2kmちょっとの廃線跡なのである。

 

 なのだから、どこかにここが廃線跡であるという、そんなことを示す説明板のひとつくらいあっても良さそうなものですが、いかがでしょうか……。

撮影=鼠入昌史

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