頭蓋骨を外したまま、数カ月を過ごした

上野 簡単にいうと、文字通り頭を開いて頭蓋骨を外して処置する手術です。僕の場合、脳圧が下がるまで、手術後もしばらく頭蓋骨を外したままの状態でした。看護師さんが言うには、手術よりも骨の管理が大変だったらしいです。

――頭蓋骨を外した状態は、どのような感じだと聞いていますか?

上野 骨はないですが、皮膚は縫合された状態です。赤ちゃんの頭って、骨が固まるまでペコペコしているじゃないですか。それと同じような感じですね。うかつにさわれないですがキレイにしないといけないので、家族がおそるおそる拭いてくれていたと聞いています。その状態が、3カ月ほど続きました。

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――その間、上野さんの意識はない状態だったんですか?

上野 そうですね。最初は集中治療室にいたのですが、一般病棟に移ってからもはっきりした意識はありませんでした。それでも意識が戻った時のために、体を起こしたり、膝を曲げたりといったリハビリは看護師さんや家族がしてくれていたと聞いています。

 意識が戻ったのは、頭蓋骨を戻したあとです。頭蓋骨を戻したら、目が覚めたみたいな感覚。その後はリハビリしてくれていたとはいえ、身体中も硬くてカチカチしていて、これまでできたことができなくなっているのが大変でしたね。あと、失語症のような状態で意思疎通が難しくて……。「意識が戻っても、高次脳機能障害を発症しているので性格が変わって凶暴になる可能性が高い」って家族は説明をされていたらしいですが、そっちは大丈夫でした。

もともと温厚な性格からか、高次脳機能障害で散見される「凶暴化」はしなかったという ©志水隆/文藝春秋

――意識が戻った時、まずどんなことを考えましたか。

上野 ベッドの上で意識が戻って、まず「あれ? バンドはどうしよう?」って思いました。周りはそれどころじゃないでしょって感じていたみたいですが(笑)。あとはいろいろと傷跡があったりしたので「俺、どうなってるの?」って、何度も聞いていましたね。

――そこでまずバンドのことが出てくるのが、上野さんらしいですね(笑)。意識が戻ってからのリハビリ生活も大変だったのでは。

上野 やっぱり基本的にはずっと寝たきりだったので、体が硬いのがきつかった。何か1つの動作をするたびに息が上がるくらいでした。今もすぐに言葉が出てこない瞬間がありますが、失語症にも苦労しました。あとは「目」。