――パートナーの方は本当に真剣だったんですね。
河除 「鼻血がよく出たり、外見のせいで周りにじろじろ見られたりすることもあるがや」と説明したら、「そんなじろじろ見るやつがおったら、俺が着ぐるみを着て君の隣を歩くから」みたいなことを言い出して。
その瞬間は「ん?」と思ったけど(笑)、本当にこの人は私のことを真剣に考えてくれているというのが分かって、すごくうれしかったです。
明らかに嫌な感じだった「かわいそうに」
――これまでの恋愛では、河除さんの病気について一緒に怒ったり考えたりするようなパートナーはいなかった?
河除 なかったですね。触れずにおこういう感じはあっても、そんな真正面から聞いてくる人はおらんかったので。でも、だからこそ真剣みが感じられたというか。
――恋愛に限らず、病気について聞いてくれた方が接しやすいものですか?
河除 ケースバイケースなところはあるんですけど、でも、もし気になったなら聞いてもらっても全然かまわんのです。他の当事者の人は分からんですけど、私の場合は聞いてもらったら「こういう事情ながや」いうて、私のほうも話すきっかけになってすごくありがたいです。ただ、嫌な感じじゃなければ、ですけども。
――嫌な感じの聞き方というか、詮索みたいなこともあった?
河除 昔、1回だけ嫌な感じがあって。20歳くらいの時、お好み焼き屋でバイトしとったんですけど、見ず知らずの人が隣にいきなり座ってきて、「君、どうしたの?」って聞いてきて。「昔からの病気なんです」って言ったら、「そう。かわいそうにね」と言われて。
その「かわいそうに」を言いたいがために私に話しかけてきたように聞こえたんですね。
――言われた方はなんとなくそういうの、気が付きますよね。
河除 「かわいそうにね」って言われるのはあんまり嫌じゃないですけど、その人の「かわいそうにね」は明らかに嫌な感じだったんです。
富山弁には、「いとしげな」という方言があるんですよ。「いとしげな」というのは、「かわいそう」の中に愛情が入っとるというか。例えば小さい子がアイスクリームをこぼしちゃった時に、「ああ、かわいそうに」って言うような、愛情が入った「かわいそう」っていうんですかね。
――子どもが風邪ひいてつらそうな時に「いとしげな」って声をかけるような感じですかね。
河除 そうです。だから、「いとしげな」を感じる「かわいそう」はいっぱいもらったことがあるんです。でも、お好み焼き屋さんの時は「いとしげな」を感じずに、好奇の「かわいそう」だったんです。
病気を持っとるせいか、やっぱりそういうのは敏感に感じるところもあって、その時はすごく嫌でしたね。
――今、2人のお子さんも大きくなっているということですが、妊娠・出産時に気をつけることはあったのでしょうか。
河除 後から知ったんですけど、本当は、子どもを産むのは危険やったんです。
写真=細田忠/文藝春秋
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