「身体的接触は行っていない」起訴状の内容を否定
裁判長から罪状認否を問われると、「起訴状で言われたことはまったく違います」と述べた。弁護側が補足したところによると、「A子さんやB子さんとの間で身体的接触は行っていない。A子さんやB子さんを抗拒不能の状態に陥れたこともない。A子さんやB子さんと性交、または性的行為も行っておりません」と主張した。つまり、行為そのものが存在せず、A子さんやB子さんは周囲の人たちの話で大野被告に特別な力があると信じたわけで、大野被告がそのような誤解をさせたわけではないと言うのだ。
いったい大野被告とはどういう人物なのか。
「特徴と言われても困るような普通の人」
逮捕時に警視庁が発表した住所は愛知県一宮市になっていた。かつてこの場所で『有限会社大野商会』を経営していたが、2008年11月に代表取締役を辞任している。閉鎖謄本によれば、事業内容は食品販売、化粧品販売、美容機器販売、医療用機器販売などで、産廃の収集運搬業なども手掛けていた。近所の人が言う。
「宅配を利用した通販をやっていたようだ。娘さんが2人いて、1人は九州、もう1人はオーストラリアに嫁いだと聞いた。奥さんとは何年か前に離婚したと聞いた。特徴と言われても困るような普通の人で、町内会の役員をやってもらったこともある。こちらにいたときは神様の神の字も聞いたことがありませんでした」
大野被告の住居の大家も次のように話す。
「事件後に娘さんの1人が来て、荷物を片付けていたようだ。今も賃貸契約は続いていて、家賃が滞ったことはない。こちらで生活しているときも電気がついている日が1カ月に1度あるかないかという生活をしていた」
2026年1月20日と2月5日、大野被告の被告人質問が予定されていたが、いずれも「やめときます」「何も話しません」などと言って、中止された。東京地裁詰め記者が話す。
「A子さんとB子さんの証人尋問が終わってから、大野被告は『被告人質問は拒否します』と表明していたのですが、検察側に懲役10年を求刑されると、『やっぱり話したいことがある』と言い出し、弁護士と打ち合わせして、最終意見陳述をするという話もありました。しかしその後、大野被告の病状が悪化し、保釈されて入院したことから、それも立ち消えになり、判決期日が指定されました」
同年5月28日、東京地裁に出廷した大野被告は最終意見陳述のやり直しを求め、次のように述べた。
「ホテルの部屋に行ったのは『どうしても人には聞かれたくない』『内緒にしてほしい』と言われたから。それで私が持っている力を提供してほしいと言われた。これまでどういうことをしてきたのか聞かれたのは事実だが、『自分にもしてくれ』『自分もそうなりたい』と相手から求めてきた。
私はそんな気はまったくなかった。自分も良くなりたいということだけを主張してきた。言葉だけのアドバイスで済むかと思ったら、望みが大きい。それで求められた。それが現実の話です」
さらに大野被告は被告人質問のやり直しを要求。その理由は「言われていることがあまりにも矛盾していた」「どうせ聞いてもらえないだろうと思い込んでいた」「体調が悪く、声が出なかった」などと述べた。
同地裁の島戸純裁判長は合議した結果、「被告人質問は行わない」と決定した。すでに論告弁論を終え、大野被告の最終意見陳述の内容と大きく異ならないと判断されたからだ。
その上で同裁判長は「被告人は2人の被害者より30歳以上年上であり、自由な意思決定で性交に同意することはおよそあり得ない。神とつながっているという被告人の言動等により、修行の一環であると誤信し、抗拒不能の状態に陥っていたものと認められる。被害者らはおよそ望まない被告人との性交を合理的に説明している。切実な願望、不安につけ込み、繰り返し性行為に及んだことは強い苦痛やトラウマを与え、その犯行手口からも刑事責任は重い」と断罪し、懲役8年を言い渡した。
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