三島由紀夫やニーチェもめちゃくちゃ悩んでた

『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

坂井 けれども、僕が「積み上げたものをぶっ壊す体験はありだ」と思えるのは、ある意味で「生存者バイアス」かもしれないという自覚があります。僕は私立中学を中退したり、親が自己破産している姿を見たり、新卒1年目で徹底的に打ちのめされたりと、「破壊と再生」の経験をしてきました。でも、それを乗り越えられたのは、その時に僕を助けてくれた人がいたからなんです。

 また、辛そうにしている人がいたら、自分がその人を支える「コンフォートゾーン(心理的に安全・安心な領域)」になることも大事なことだと思っています。

高橋 人のコンフォートゾーンになってあげるということですね。

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坂井 だから、無責任に「リスクテイクせよ」「破壊と再生をしろ」と他人に煽るような話は、あんまり意味がないなと思っています。破壊だけしているじゃないですか。

高橋 周りに支えてくれる人がいなかったらどうすればいいんですか?

坂井 支えてくれる人がいない場合、僕の場合は自分を支える保護因子となったのが「本」でした。高校時代、ひたすら本を読んでいたんですよ。「三島由紀夫やニーチェもめちゃくちゃ悩んでたんだ」と知ると、「なんだ、こんなもんか」と思えて心が安らいだんです。自分の悩みが自分固有のものではなく、普遍的なものだったと気づくこと。これこそが文学や哲学の価値・効用です。

高橋 そうすると、挫折や異動を噛み締められるのかな。

坂井 『理不尽仕事論』も、読んだ人に「自分1人だけの悩みじゃないんだ」と思ってもらいたかったし、理論があれば悩みに対するクッションになると考えています。