「どうやら単なる確認ミスだったようだ。正直、拍子抜けした」

 強い関心を示したのが韓国政府だ。進歩(革新)系の李在明政権は北朝鮮に対し、南北関係の緊張緩和を目指し、対話や協力を重視する政策を打ち出しており、日朝首脳会談を模索する日本の動きにも神経をとがらせる。複数の韓国政府関係者によると、外交省だけでなく情報機関の国家情報院も動員し、朴氏再入国の背景について確認に動いたという。その結果は予想外だった。「北朝鮮側との水面下の動きの一環ではないかと思われたが、どうやら単なる確認ミスだったようだ。正直、拍子抜けした」と韓国政府関係者は話す。

4月24日、趙甬元委員長が在日本朝鮮商工人代表団の主要メンバーと面会した。左から6人目が朝鮮総連傘下の商工連合会の朴忠佑会長とみられる(朝鮮中央通信より)

 警察の公安部門や公安調査庁はそれぞれ朴氏の訪朝を確認していたが、その情報が外国人の出入国や在留を管理する出入国在留管理庁に共有されていなかったというのだ。ましてや、公安調査庁は同じ法務省の外局である。省庁間どころか省内の縦割りが弊害となり、制裁措置がザルだったことが露呈してしまった。

朴氏の再入国に木原稔官房長官は

 朴氏の再入国は一部の報道関係者の間でも話題となり、5月12日の木原稔官房長官の記者会見で質問が出た。木原氏は「措置に変更はないが、特定の個人に対する対応については事柄の性質上、政府としてお答えを差し控えてきている。引き続き関係省庁間で緊密に連携しながら対北朝鮮措置の実施を徹底していく」と答えるにとどめた。産経新聞は木原氏の発言を引用し、「日本政府は独自の制裁として北朝鮮を渡航先とした朝鮮総連幹部らの再入国を原則禁止しているが、北朝鮮との関係改善に向けて特例的に容認した可能性がある」と報じた。

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 だが、単なる情報の伝達不足であり、官邸に報告もされていなかったことを複数の政府関係者が認める。本来であれば朴氏の渡航前に政府内で情報共有が行われ、官邸の判断を仰ぐべきだったのではないか。

相当に根深い政府機関組織の縦割り

 ある公安関係者は声を潜めてこう言う。「仮に、政権の高いレベルで極秘に北朝鮮との再交渉を見据えた決定をしていた場合、その方針に反する情報を上げたなら、余計なことをするなと叱責されるだろう。藪蛇になる可能性がある」。政府機関の組織の縦割りは相当に根深い問題と言えそうだ。

 消費税減税をめぐって税率変更に時間がかかるレジシステムを「日本として恥ずかしい」と嘆いた高市氏。今国会で国家情報局創設の関連法案成立を優先させるほど関心の高いインテリジェンス分野での「失態」は、恥ずかしいどころの話ではないだろう。

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