ティム・バートンとマイケルをつなぐ怪奇俳優ヴィンセント・プライス
この時期、マイケルはティム・バートン監督の『シザーハンズ』(90年)の主人公エドワード役の候補の一人に挙がっている。純真無垢な心を持つ人造人間エドワードの格好が「バッド」の衣装と酷似しているため「マイケルがモデル?」と思う人もいるようだが、実際は日本にもサロンを持つヘアスタイリストのエドワード・トリコミに監督が髪を切ってもらった際、本作のアイデアが浮かんだという。主人公の生みの親である発明家を演じたヴィンセント・プライスはホラー映画俳優の第一人者で、「スリラー」のナレーションも担当。ティム・バートンとマイケルは共にヴィンセントのファンで、彼が主演した『肉の蝋人形』(53年)をミュージカル映画化する企画を話し合ったこともあるそうだ。
『キャプテンEO』で共演したアンジェリカ・ヒューストン主演のヒット作続編『アダムス・ファミリー2』(93年)は当初マイケルが主題歌とプロモーション用の短編映画を担当する予定だった。マイケルは「ホラーの帝王」スティーブン・キングに脚本を依頼。ミック・ギャリス監督のもと制作が進んでいたが、マイケルが親しくしていた少年の親に訴訟(のちに無実が証明)をおこされ一時中断。96年の再開時は視覚効果の巨匠スタン・ウィンストンが監督を引き継いでいる。
完成した39分の短編映画『ゴースト』(96年)でマイケルが演じたのは、街を見下ろす丘の上の幽霊屋敷に一人暮らす男、マエストロ。彼は近所の子供たちに手品を見せて楽しませていたが、気に入らない白人市長は街から追い出そうと画策する。屋敷に乗り込んできた市長や市民たちをもてなすため、マエストロは骸骨やゴーストたちとパフォーマンスを披露。最後に市長は恐怖から逃げ出し、マエストロと市民は和解する。当時のマイケルの境遇を思わせるストーリーだが、キングは当初用意した脚本とはかけ離れたものになったと語っている。本作が画期的だったのは、マイケルが主人公のみならず白人市長、骸骨、ゴーストなどを特殊メイクとモーションキャプチャで演じていること。特に白人市長はマイケル自身もお気に入りの出来だった。



