無理に夢を持とうとしなくていい
―― 今、子どもたちへ伝えたいことはありますか。
人生って、偶然おもしろいことにぶつかって、それが一生の仕事になることもあります。実際に僕もそんなふうにして今の仕事につきましたが、天職だと思っています。だから、強い興味がなくても気にせずに、今楽しいことを、楽しいようにやっていってほしいなと思いますね。無理して夢を持つ必要はないというか(笑)。
―― 鳥類学者に憧れる子どもたちにも一言お願いします。
川上 体力は大事かもしれませんね。
―― 体力ですか?
川上 職業上、崖を上ったりとかするので。
去年南硫黄島に調査で行ったんですけれども、周囲が200メートルぐらいの崖で囲まれた島なんです。1カ所だけ登るのが楽ちんな、といっても傾斜が45度以上の谷があるので、まずプロのアルピニストにロープを張ってもらって、それを使いながら、僕らはちょっと楽して登っていくんですけど。
前の人が登っていくと、足場が崩れて上からバーッと石が落ちてくることがあるので、直前まで落石の進路を見極めてヒョイッとよけるんですけれども、ザイル(ロープ)につながれてるから思いのほかよけづらいとか。そういうちょっとね、楽しいことになっちゃったりするんです(笑)。
―― 全然楽しくないです(笑)。
川上 体力は維持しておかないと危険なので、安全に調査ができるよう普段から運動は気をつけていますね。
「鳥」の先生の意外なマイブーム
―― 最後に、先生のマイブームを教えてください。
川上 Netflixとアマゾンプライムです。特にサメ映画が充実していて。上半身がサメで、後ろ半分がタコになってるモンスターが襲いかかってくる「シャークトパス」とか、フランケンシュタインの脳みそを突っ込まれた、非常にはりぼてっぽいサメが襲いかかってくる「フランケンジョーズ」とか。
あと、トップクラスのアクション俳優のジェイソン・ステイサムが主役のサメ映画「MEG ザ・モンスター」が9月に公開されるんですよ。まさかサメ映画に出るとは、みたいな。サメ映画って基本B級なんですよ。日本ではまず映画館では公開はされず、動画配信とか、レンタルビデオ屋とか、テレビ東京の午後のロードショーだけでやっている。
そんなサメ映画でありながら、名のある役者さんが主役の、ちゃんとした大作として映画館公開されるというので、すっごく僕は期待しているんです。
マイブームはサメ映画でいいです、サメ映画。サメ映画でお願いします。