没後約17年を経て、鮮烈なパフォーマンスはいまだ人々の記憶に刻まれる。 マイケルに人生を変えられたふたりが、彼の独自の才能を語り合った。
スーパースターが登場した衝撃
──世紀のスーパースター、マイケル・ジャクソンは何が凄かったのか? 音楽とダンスの両面から彼の「特異点」について語っていただきます。まずは、おふたりのマイケル初体験をお聞かせください。
西寺郷太(以下、西寺) 小学校4年生、1983年の初夏です。マイケルが初めてムーンウォークをやった『モータウン25』のビデオが最初。「今夜はビート・イット」や「ビリー・ジーン」、特に12月に公開されたゾンビと踊る「スリラー」は小学校でも大流行しました。
TAKAHIRO(以下、上野) 私は世代が少し下なので、存在を知ったのは1999年、18歳でした。大きな白い幕に影が映し出されて「スムーズ・クリミナル」を踊るツアーのビデオです。初めて見た外国人歌手の映像でした。
──西寺さんは最初に聴いたときから「うわ、すげぇ」って感じだったんですか?
西寺 僕はもともと『ザ・ベストテン』などの歌番組に夢中で、80年代当時のアイドル歌謡曲が大好きな子供でした。田原俊彦さん、松田聖子さんとか。色んな音がイントロから華やかに始まって詰まっている“幕の内弁当”的な日本のヒット曲と違って、マイケルの「ビリー・ジーン」は、ドラムとベースだけで始まる無骨さに衝撃を受けました。
──同じ時代だとプリンスの「ビートに抱かれて」なんかも穴だらけのスカスカですよね。日本のポップスとは音楽の文法が全く違います。では、ダンサーである上野さんにとってのマイケルとなると……。
上野 やはりムーンウォークです。重力などないかのように地面を滑る動き! 魔法の世界が現実に起きていることが衝撃的でした。ビデオを再生しては真似をしたものです。加えて言うならば、マイケルの踊りはもう一段階深いシルエットの世界を見せているとも感じました。究極の洗練とも呼ぶべきものです。マイケルはその先に新しいオリジナリティを生み出しているんです。




