――鈴木女流三段はアマ強豪など、いろいろな方と研究会をされているそうですね。その頃の磯谷先生は女流プロの公式戦にも多数出場して勝たれていましたし、高3の時にはマイナビ女子オープンの本戦入りをかけた予選決勝で、鈴木女流三段と対戦されています(鈴木女流三段の勝ち)。当時の磯谷先生はアマチュアでしたが、鈴木女流三段は実力を認めていらしたのではないでしょうか。
磯谷 そうですね。「一緒に頑張りましょう」と声をかけてくれて、当時の私よりずっと強い奨励会の初段、二段の方との研究会などをセッティングして下さいました。そこから強い方との出会いが増えて、こちらからお願いしてVSをすることもできるようになりました。
平日に強い人と指す機会を逃したくなくて、週4くらいで研究会に参加するようになり、秋には大学に行かなくなってしまいました。
強い人と指せるのは本当に嬉しいことで、なんとか食らいつこうと、1人の時も将棋の勉強に力を入れるようになりました。奨励会の時と違い、将棋の勉強が楽しいと心から思えるようになったんです。
最初に住んでいた世田谷からだと、研究会などでよく通っていた御徒町将棋センターは遠くて。だから思い切って、御徒町に近い上野に引っ越しました。大学は2年生で休学しています。
――大学1年生の時は学生女流名人戦で優勝されていますが、2年生以降は休学で学生大会に出られなくなったのですね。ご両親は休学については反対されなかったのでしょうか。
磯谷 将棋を頑張っているならいい、ということになりました。その後、女流棋士になってから大学は中退しました。
女性アマチュア大会ではほぼ負けなしの活躍
――学生大会に出られなくなっても、アマの大会にはよく出ていましたよね。女性がほとんど参加しない、男性アマ強豪が集まる大会にもどんどん出ていました。
磯谷 自分より強い人だらけのアマ大会ではいい経験をたくさん積めたと思っています。相手が当日まで分からないし、アマの大会は時間も短い。序盤の研究をしてもその通りにならないことばかりです。
アマ大会は逆転が多く、中終盤の力がものを言う世界です。大会でたくさん指して中終盤力を磨いたことが、女流棋士としても今の強みにつながっていると思います。
序盤は何歳からでも勉強できますが、その時期に中終盤力を鍛えられたのは良かったです。中学生や高校生で女流棋士になっていたら、そんな経験は積めなかったと思います。
――アマ連(日本アマチュア将棋連盟)の全国大会であるレーティング選手権で、男性のアマ強豪を連破して3位に入ったことは大きな話題になりました。他に、2023年の加古川青流戦アマチュア選抜大会では、アマ名人経験者や元奨励会三段の強豪などに勝ち、4回戦まで勝ち上がりました。
磯谷 優勝して女性アマが棋士の公式戦出場を決めていたら、相当話題になったはずです。そういう「初めての女性」になりたいという野望は持っていました。
女性枠で出た朝日アマ名人戦(女流アマ名人戦優勝者は全国大会に招待される)では1回戦に勝って、2回戦で勝てれば(プロ公式戦の)朝日杯に出ることができたのですが、頓死してしまい……。かなり優勢に進めていたので、すごく残念でした。
――同じ大学出身の大城千花アマが今年、女性として初めて朝日アマ全国大会で2勝して朝日杯出場を決めて話題になりましたね。
磯谷 はい。素晴らしいなと思いました。私は朝日杯に出られなかったのでちょっと悔しいですが。
――東京に出てからは女性アマの大会ではほぼ負けなしの活躍。女流アマ名人戦では2021、2022年と連続優勝されています。賞品は豪華で、将棋会館の対局用座布団と同じ「ムアツ」のマットレスでしたよね。
磯谷 1回目のマットレスは自分で使い、2回目の優勝の時は母にあげました。すごく寝心地が良いと喜んでくれました。




