この流れで改正法案が通れば、愛子天皇誕生の可能性は完全に閉ざされます。そもそも、将来的な女性・女系天皇を模索する提案は、この議題に入っていない。
近年の世論調査では、女性天皇に賛成の意見が6割から9割台と多数を占めています。つまり、この民意は今回の議論に一切反映されていないのです。政府や自民党は「静謐な環境で議論を」と言っていますが、単に、一部の保守派の岩盤支持層のために、大多数の国民の声を無視したいというのが本音でしょう。天皇即位を期待される愛子さま人気と、政界で行われている議論が、かなり乖離しているのが現実です。
「女系の継承は一度もない」と言うけれど…
仮に愛子さまが即位すると、過去にも存在した「男系の女性天皇」になります。さらに子が即位すれば、男女どちらであれ、女系天皇になる。保守派は、男系で紡がれてきた皇統を守りたいと考えており、女系への移行を容認していません。その余地をなくすために、女性天皇さえ認めないのが現在の議論の枠組みです。
高市早苗首相は、2月の国会答弁で「皇位が女系で継承されたことは一度もない」と強調しました。確かに、純粋な女系天皇はいませんが、改正案に上がっている旧宮家の子孫の養子復帰案も、実は「過去に一度もない」ことです。
歴史上、天皇に男子がおらず、遠縁の皇族が養子となり、皇位を引き継いだケースはありました。現在の天皇家に繋がる光格天皇(1780年即位)です。
しかし、一度皇籍を離れた家系で、離れた当人ではなく、親が天皇にならずして、数代先の民間人を皇族へ復帰させた前例は、存在しません。つまり、女系天皇の誕生も、旧宮家の子孫の復帰も、どちらが実現しても“史上初”なのです。
さらに、旧宮家の11家は、男系で辿ると、現在の皇室から20数代、室町時代まで遡らなければならない。血縁は女系を辿る方が男系より遥かに近いです。
将来的な女系天皇を認めるか、旧宮家の子孫を皇族に復帰させるか――どちらかの史上初を選べというのなら、私は女系容認でいいだろうと考えます。
また、旧宮家の子孫を養子とする制度を整えたとして、皇族になりたいと考える当事者が、どれだけいるのでしょうか。祖父、曾祖父の代が約80年も前に皇籍を離れ、ご自身は民間人として生きてきたのに、生活は一変します。そのうえ、結婚して子供ができたら、自分が天皇の父になる可能性も出てくるのです。