お客さまは「第三者」という言葉に弱い
しかし、ここまで注意書きとして書いてあっても、同じ車に乗ってきて「別世帯です」といって二つもらって帰る大家族のお客さまもいるのだから恐ろしい話だ。ただ住宅営業マンとして、こういうお客さまを相手にすることでいちばんの損失になるのは「時間」である。どんなに買う気のないお客さまであっても、駐車場に到着したときのお迎えから展示場のご案内、帰るときのお見送りまではやらなくてはならない。
こんなお客さえ相手にしていなければ、別の優良客を接客できたかもしれない……どこからどう見ても「家」など買いそうにない、4人乗りの軽自動車に6人がぎゅうぎゅう詰めになって乗って帰る「道交法違反」のご家族、車検切れのボロ車に堂々と乗って現れるご家族……こうなると、もう「家」を買う客筋とは異なる別次元の人たちである。
それと、実際に商談として話が進んでいるお客さまに対してのイベントで「FP相談会」がある。お客さまも住宅営業マンが自社の商品を悪くいわないのはわかっているし、見積もりを出して「この金額だと、あなた方は将来、住宅ローン破綻しますよ」などというわけがないこともわかっている。
だから契約まで多少の不安を残しているお客さまには、あくまで「第三者」の見解として、お金の専門家である「FP相談会」を開催するのである。趣旨としては、販売する側の住宅メーカーの人間は同席せずに、お客さまの収入から提示されている見積書の妥当性、同時に電気、ガス、水道料金、携帯電話料金の見直しや節約方法等のアドバイスをしてもらうというもの。
お客さまは「第三者」という言葉に弱い。いかにも冷静、公平というイメージだからだろうか。もちろん住宅営業マンのことも、そこそこ信用はしているから話を進めているのだとは思うが、やはり売り手側の話として、ある程度は割り切っているお客さまがほとんどだろう。
だから住宅メーカー側が同席しない、第三者を「自称」するFPの効果は絶大なのだ。
ちなみに住宅ローンを貸し付ける銀行員も、どういうわけか、お客さまから信用されている。私からすれば、いちばん信用できないのは銀行員なのだが……。
ちなみに前職は私も金融関係の仕事だったが、「サラ金」だったためか、お客さまからの信用はゼロに等しかった。やはり銀行員のステータスは高い。