5月15日に佐藤愛子さんのご逝去の報道がされました。施設に入る直前に伺ったインタビューと、娘の響子さん、孫の桃子さんからみた「作家・佐藤愛子」のありのままの姿を収録した『ぼけていく私』の刊行記念イベントが、ご逝去の報道からちょうど1週間後の22日に紀伊國屋書店新宿本店にて行われました。亡くなったときの様子など、響子さん、桃子さんのお二人が語った対談をお届けします。(全2回の1回目/続きを読む)
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母・佐藤愛子との最後になった旅行で
響子 今日は思い出のラムラム王のTシャツを着てきました。
桃子 誰? ラムラム王? どこの国の王様なの。
響子 ラムラム国だろうね。大正時代に挿絵を描いていた武井武雄さんという方がいらっしゃって、母がキンダーブックという子供向きの本を読んでいたころ武井さんの挿絵が大好きだったんですよ。それである時、武井武雄術館とかないかねというので調べたら、長野県の岡谷にあって、新宿駅から1本で行けるんですね。じゃあ行こうかとなって1泊で行きました。お近くまで行かれることがあったら、ぜひお寄りになるといいと思います。ほっこりしていて可愛らしい美術館でね。
大正時代の挿絵の方って、デザインも色使いも独特で、もうなんとも言えない雰囲気ありますよね。母もじっくり一つ一つ丁寧に見て、説明の文章も全部読んでいました。お土産をダンボール2、3箱買いましたね。これが母と私の最後の旅行になりました。
桃子 それいつ? 私、行ってない。
響子 いつだろ、忘れちゃった、2010……何年かな。母は岡谷の町も気に入って、いい町だ、ここに住みたいねと言いながら歩いていました。風光明媚ということではなくて、母が大好きだった、昔懐かしい昭和の日本の風景が残っているようなところだったのですごい気に入って、その美術館も気に入って、もう一度行きたい、もう一度行きたいねって言いながら2度目が叶わずじまいでした。

