『ぼけていく私』の刊行記念イベントが、5月15日の佐藤愛子さんご逝去の報道からちょうど1週間後の22日に紀伊國屋書店新宿本店にて行われました。愛子センセイが戒名に「憤怒」を入れることを思いついたり、盛大なラップ音で化けて出る条件などがあったお話など、娘の響子さんと孫の桃子さんによる対談の続きをお届けします。(全2回の2回目/はじめから読む

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右・響子さん 左・桃子さん

桃子 祖母が4月29日に亡くなって母の顔面麻痺が始まり、ゴールデンウィークに入っちゃったから受け入れてくれる病院も全然なくて。で、どんどんひどくなって笑ってるのに半分だけ真顔みたいなのがずっと続いていました。

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響子 そんな状態で喪主を務めたわけなんですが、私の中に佐藤愛子のかけらがいっぱいあるんですね。母が言いそうな言葉というのがいつも頭に浮かぶようになっていて。「本当にありがとうございました。102歳まで支えてくださいました」と挨拶しながら泣いている時に、「顔曲がりの喪主は参ったね」というのが母の言葉として聞こえてくるんですよ。今もこのトークイベントが始まる前に、たくさんの人がお見えになってて緊張するなと思ったら、「まあなんてことないよ」と母が言っている声が聞こえてくるんです。「私なんかね、何度もこんなこと経験してるんだよ」って。

桃子 喪主の挨拶をしているとき、さすがにみんな涙していました。喪主の顔は歪んでるけど、そこには祖母が多分いたんでしょうね。

 

響子 母が90を超えた頃に終活ノートを作るって言い出して、お葬式は、斎場は絶対嫌だからね、家かお寺じゃないとって言ってたんです。お寺さんでやるのは高くつくと聞いたら、じゃあ自宅だ、自宅じゃないとダメだと言って。でもお寺に関しては、骨は墓に入れるけど戒名いらないからお寺さんにそう言っといてって言うんですよ。しょうがないのでお寺さんに電話して伝えると、大黒さんがすごく困った声で「あのう、戒名がないとお墓には入れられないんです」と。それを母に言うと「わかった。じゃあいいや、坊主にはつけてもらわないで自分でつける。『憤怒』って入れよう!」って言い出したんです。