「ラップ音だって、雷みたいなのを立てるからね」と、なにかと化けて出るという佐藤愛子

響子 私が「成仏する気ないでしょう? そんな名前つけてたら成仏できないよ」と言うと、「でも面白いじゃない。来た人はきっと喜ぶ」って。「お葬式に来る人で、面白いことを期待して来る人なんていないから喜ばないよ。だからもう、本当に死ぬ時ぐらい真面目に死のうよ、おとなしく死のうよ。お坊さんに任せよう」って頼んだんですよね。それでお坊さんにつけていただいたんですが、まあなんかこんなもんかねという感じでした。

桃子 「憤怒」は入れなかったよね。

響子 そんな冗談じゃないですよ。また成仏できなくて幽霊で出られたら、私、やりきれないですからね。

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桃子 そうじゃなくたって、なんかすぐ化けて出るとか言うんです。お花や香典は断る、偲ぶ会をやったら化けて出るとか……化けて出る条件多すぎ。

響子 「私はね、ラップ音だってね、すごい雷みたいなのを立てるからね!」って言うんですよね。だからいつか来るかな、来るかなって思ってますけど。

桃子 バチーンとすごい大きいのがきたら祖母だなって思いながら聞きますよね。

 

桃子 葬儀を家でやるので花屋さんが来て、いつも祖母が椅子に座ってテレビを見ている場所を全部片付けて、あっという間に祭壇を作って棺を置いて。応接間のお客様に座っていただくソファーを参列者の方に座っていただくように並べて、という風にしたんですよ。

 それでいよいよ明日は葬式だ、荼毘だ、となった時に、母が最後の夜だから祖母と一緒に寝ると言い出して。でも一人で遺体の横に寝るのは嫌だからあんたも来なさいと言うので、親子3人、川の字で寝たんです。

響子 その晩、私は母に便箋7枚分の手紙を書きました。みなさんには話せないくらい、くっだらないことばっかり。「あんた、よくそんなつまらんこと覚えてるね」って言われるようなことを書いたんです。母に笑ってほしかったので。私が書いた本と手紙を納棺して一緒に寝たら、翌朝、目が覚めると隣で桃子が大号泣していたんですよ。