面白がって笑うことが作家・佐藤愛子への一番の供養

響子 ようやくね、母が仲の良かった人と会えるな、と私も本当にそう思いました。その空想をしているのは楽しかったですよ。遠藤周作さんがやってきて「佐藤君、今頃来たのか。憎まれっ子世にはばかるっていうやつか」って言って、母が「何を言うか」って答えたり、北杜夫さんが現れて「愛ちゃんはね、僕よりも悪者だから長生きしたんだぞ」って言って、遠藤さんと母が笑ったり。中山あい子さんも「愛子さん、今頃来たの? 何してたの? 100まで生きて書いてたの、はあー!? 大したもんだね」って言ってるとか、そういうことをずっと空想していると悲しみが紛れて楽しい気持ちになりました。私たちが乗り越えなければならない辛さはあるけれど、亡くなった人は幸せであってほしい。母は幸せになっていると私は思っています。やっぱり我々がワーワー泣いてたら、本人もしょげて泣きたい気持ちになるでしょうし。

 

桃子 100まで生きたら、逆におめでたいと思わないと。

響子 本当にそうですね。面白いこと書くねって言って笑ってあげるのが一番の供養だと思います。

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撮影 細田忠

佐藤愛子(さとう・あいこ)
1923年大阪府生まれ。甲南高等女学校卒業。小説家の佐藤紅緑を父に、詩人のサトウハチローを異母兄に持つ。69年『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞、79年『幸福の絵』で第18回女流文学賞、2000年、65歳から執筆を始めた佐藤家3代を描く『血脈』の完成により第48回菊池寛賞受賞。15年『晩鐘』で第25回紫式部文学賞を受賞。17年旭日小綬章を受章。

響子(きょうこ)
杉山響子 1960年生まれ。玉川大学文学部卒。両親の離婚後、母の佐藤愛子と暮らす。著書に『物の怪と龍神さんが教えてくれた大事なこと』『憤怒の人 母・佐藤愛子のカケラ』。

桃子(ももこ)
杉山桃子 1991年生まれ。立教大学文学部卒。「青乎(あお)」名義で、映像や音楽作家として活動する。著書に『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』。

ぼけていく私

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文藝春秋

2026年4月9日 発売

最初から記事を読む 昭和の日に亡くなった102歳の佐藤愛子が、最後に伝えたかったこと