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大事な子がよく育つよう、神に魅入られて天に召されぬよう、「捨松」などといった名をつけるのがその例だ。捨てるというネガティブの振り幅の強いことばは、クソや血のようなパワーを持っていることも確かである。
「悲劇を二度と起こすまい」という決意
現代人から見ると不吉に見えても、古代人を主とした昔の人は、ネガティブの度合いが強ければ強いほど、それだけパワーのある存在として認めていた。場合によっては、そのパワーを自分に取り込もうとさえしていた。
もちろん鎮魂の意味で地名に残した場合もあるのだろう。また、その悲劇を「忘れまい」「二度と起こすまい」という強い決意も込められていよう(笛吹峠の由来が継子殺しであるとすれば、そうした意図があったように思う)
不吉な地名が残された背景には、そうした昔の人の心情や俗信的なものが潜んでいるのかもしれない。
大塚 ひかり(おおつか・ひかり)
古典エッセイスト
1961年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻を卒業。著書に『くそじじいとくそばばあの日本史』(ポプラ社)、『毒親の日本史』『嫉妬と階級の『源氏物語』』(いずれも新潮社)、『黒い古典――日本人が必要とした悪の力』(淡交社)、『ヤバいBL日本史』『悪意の日本史』(いずれも祥伝社)など多数。また、個人全訳を手がけた作品に『源氏物語』(全6巻、筑摩書房)がある。
古典エッセイスト
1961年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻を卒業。著書に『くそじじいとくそばばあの日本史』(ポプラ社)、『毒親の日本史』『嫉妬と階級の『源氏物語』』(いずれも新潮社)、『黒い古典――日本人が必要とした悪の力』(淡交社)、『ヤバいBL日本史』『悪意の日本史』(いずれも祥伝社)など多数。また、個人全訳を手がけた作品に『源氏物語』(全6巻、筑摩書房)がある。
