一般の生成AIには、それを使用した人間とのやり取りを広く世間に拡散する機能は備わっていない。SNSを通して勝手に秘密を明かすことはないのだ。

しかも、生成AIは、つねに冷静で感情的になることがないばかりか、自己の利害を考えることがまったくない。恩を売るとか、マウントをとることなどあり得ないのだ。

生成AIを使ってみればわかるが、質問者に対して実に親切に接してくれる。使用者に寄り添ってくれると言ってもいい。人間のほうからもちかけられた相談事になんとしても答えようとして、裏では膨大な作業を行い、必ず回答を寄せてくれる。

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その回答が十分でなかったり、間違ったことが含まれていた場合、それを指摘すれば、平身低頭して謝罪した上で、新しい回答をひねり出してくれる。その作業は永遠に続き、生成AIが音を上げることはない。

しかも、どんな問い掛けにも、「答えるのは嫌だ」とは言わない。

そんな相談相手は、これまでまったく存在しなかった。生身の人間にはそんなことは到底不可能である。そうなると、仕事を失う人間も出てくるわけだが、思わぬところでその役割を失ってしまう人間も出現する。

AIリスクに警告を発した教皇レオ14世

これまで「占い師」は相談役として重宝されてきた。占い師は基本的に赤の他人で、その面で気軽に相談できる。相談する側の人間関係とは接点がないので、秘密保持も十分に期待できる。

しかし、占い師は商売であり、延々と相談に乗ってくれるわけではない。料金を支払えば、それも可能かもしれないが、1人の占い師が答えられる範囲もどうしても限られてくる。

生成AIのほうは、これまで人類が蓄積してきた膨大な情報にアクセスできるわけで、質問者に対して提示できる選択肢は無限大である。この点でも、人間は完全に負けている。

先日のAIをめぐる居酒屋談義でも、会議の際に、まず「AIは何と言っている」と部下に尋ねる上司の話題が出た。これも人間が、相談を受ける側としてAIに負けていることを示している。その面で人は、「AI以下」になってしまったのだ。これは大変な事態である。