患者が人として対等に扱われていない

水谷 看護師さんの話を聞いていると、患者さんとの距離をすごく感じました。これまでの病院は、看護師さんが患者さんを一人の人間として扱い、丁寧に接していましたし、患者さんがどうしたら良い方向に進むのか、普段からよく話し合っていたんですけど……。

 その病院は、看護師さんたちが本人の聞こえるところで、患者さんたちの悪口を言っているみたいなんです。ナースステーションでも食堂でも、患者さんを見ながら「アイツらこんなことしたんですよ」「ヤバいですね」と。

『暴力病院 看護助手が精神科で見たもの』より ©︎水谷緑/竹書房

──人として対等に扱われていない感じがします。そもそも患者さんは、看護師さんとコミュニケーションを取れる状態なのでしょうか? 

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水谷 看護師さんが話しかければ普通に会話ができる人もいますが、モソモソと小声で話す感じの人が多いそうです。あとは、話しかけられただけでビックリして固まってしまう人もいて。もちろん、なかには積極的に声をかける看護師さんもいるみたいですけど。

 その病院には、ある男性の看護師さんがいて。誰よりも率先してテキパキと仕事をこなして、みんなから頼られていたそうなんです。私が取材した看護師さんも、この病院に転職して間もない頃は「この人はいい人そうだな」と思っていたんですね。

 でも、患者さんたちを食堂に誘導するとき、その男性の看護師さんが患者さんに向かって「早く行けよ! バカが!」「このクソが!」と言いながら、背中を蹴っている姿を見たと言うんです。ノロノロ歩く人、反応が鈍い人に対して、業務をスムーズに行うためにやっていたらしいのですが……。