精神科病院における暴力という問題に切り込んだ衝撃の漫画『暴力病院』(竹書房)。本作は、著者の水谷緑さんが、精神科病院に勤務する実在の関係者から得た証言をベースに、フィクションとして再構成した作品だ。
本作の他にも精神医療をテーマにした作品を数多く発表し、医療従事者への取材を精力的に重ねている水谷さん。これまで取材した病院は、雰囲気が明るくて、従業員の熱意や活気にあふれているところばかりだったという。だが──。(全2回の2回目/マンガを読む)
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身体拘束を経験した方のトラウマは凄まじい
──これまで取材してきたなかで、入院中の患者さんが「突如豹変した」といった話を聞くことはありましたか?
水谷緑さん(以下、水谷) 病気の症状としてときどき耳にしました。たとえば、さっきまで静かにテレビを観ていた人が、番組の内容を「自分の悪口を言われている」「攻撃されている」と捉えて突然怒り出したり、良かれと思って掛けた言葉に激昂して暴れたり。
その患者さんたちは、私たちが想像する何倍も神経が過敏で、ストレスの高い状態にあったのかもしれません。
──身体拘束が行われることもあるそうですね。
水谷 一部の病院では、自傷や自殺、他者への危害が著しく切迫している場合の「最後の手段」として行われることがあるそうです。他にも、点滴を抜いたり、転倒することを防ぐための拘束も多いと聞きます。
数年前の話になりますが、ある病院では「産まれ直し」と称し、拘束したまま排泄物を垂れ流しにさせ、完全に無力化してから看護を行うやり方もあると聞きました。
そこまで過激ではなくても、拘束を経験した方のトラウマは凄まじく、退院後もフラッシュバックに苦しむ人がいると聞きます。もちろん、拘束をなくそうと奮闘している病院もたくさんありますが、病院による格差が大きいのが現状のようです。

