背景にある人手不足

──精神科は他の診療科に比べて、看護師の人数が少ないと言われています。身体拘束がなくならない背景には、人手不足も影響しているのでしょうか。

水谷 それもあると思います。一般病棟が「患者7人~10人に対して看護師1人」という配置であるのに対し、精神科は「15対1」や「20対1」など、看護師1人が受け持つ患者数が圧倒的に多いんです。人手が回らないことも、現場の状況に影響しているのではないかと個人的には感じています。

 ただし、この傾向は、特に長期入院の方が入院されている療養病棟で顕著だと思います。早期退院をめざす精神科の急性期病棟では「10対1」の配置になっているところも多いです。

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 この他にも精神科には、外から鍵をかけられる「保護室」と呼ばれる個室があります。これは、患者さんの興奮が激しいときや、自分や他人を傷つけてしまう危険があるときに使われる部屋です。外部からの刺激をシャットアウトし、患者さんの身の安全を守りながら、落ち着きを取り戻してもらうことを目的としています。

『暴力病院 看護助手が精神科で見たもの』より ©︎水谷緑/竹書房

 室内はコンクリートや特殊な壁で囲まれ、あるのはベッド、トイレ、洗面台のみ。自然光や緑を取り入れたデザインも増えているそうですが、窓に鉄格子がはめられているところもあるそうです。スマホやノート、ペンなどの持ち込みも制限されます。

 こうした点に加えて「いつ出られるかわからない」という不確かさが、患者さんの恐怖を増してしまうのかもしれません。その一方で、神経が過敏になっているときには「自分から入りたい」と希望し、気分が落ち着いたら出てくる患者さんもいるそうです。