――松岡さんが重視したいポイントが、八丈島には詰まっていたのですね。とはいえ、住み慣れた都心を離れるのは、不安もあったのではないでしょうか。
松岡 それが、不安や迷いはまったくありませんでした。八丈島に知り合いは一人もいないし、仕事のツテもなかったけど、まとまった貯金があるし、いますぐ仕事が見つからなくてもしばらくは生活できるだろうって。
それに、私にとって「何も決まっていない」って、ワクワクすることだったんですよね。しばらく休んでもいいし、仕事をしてもいい。自分で事業を始めてもいい。
実際、地元の方や移住した方の話を聞いたら、自営業の方が結構いるんですよ。趣味の釣りを活かして、漁業をしてもいいかもしれないな。ずっとペットと一緒に暮らしてきた経験を活かして、猫カフェや犬カフェを開くのもアリかもしれない。
そういうのも含めて、全部なんでも自分で決めていいんだって、ワクワクしていました。
――移住にあたり、誰かに相談はしましたか?
松岡 相談はしなかったですね。事後報告です。移住といっても東京都内だし、55分で戻ってこられる距離ですし。それに今はスマートフォンさえあれば、家族や友人といつでも連絡が取れますからね。
――では、移住が決まったあとに周りには報告したのですね。反応はどうでしたか?
松岡 びっくりしながらも、「楽しそうで羨ましい」「やりたいことやっててすごい」と言ってくれる人たちばかりでした。なんだか、褒められた気分になりました(笑)。
移住先の物件は70平米、ペット可、3部屋で家賃3万円
――移住先の家探しは、どうしたのでしょうか?
松岡 八丈島へは、2泊3日で下見に行ったのですが、その期間に島の牧場で開催していた職場体験に参加して。そこで出会った地元のおじいちゃんが、家探しを手伝ってくれたんです。
――すごいですね。どのような経緯でそうなったのでしょうか。
松岡 最初は、一人で島内の不動産屋さんを回っていたんですよ。でも、想定以上に家賃が高いところが多くて。安いところは、不便な場所にあったり、ペット不可のところだったりして、決めきれずにいたんです。
それをおじいちゃんにポロっと話したら、「車を出すから一緒に探そうか」と言ってくれて。おかげで、限られた時間で島内のいろんな不動産を回ることができて、すごく助かりました。
ただ、それでも決めきれなくて。私がうーん、と悩んでいたら「俺の知り合いがたしか、空き家を持っているって言ってたけど、聞いてみる?」と言ってくれたんです。その空き家が、今も住んでいる家です。私の場合は、すごく運がよかったと思います。

