いよいよ6月11日(現地時間)に開幕する、2026 FIFAワールドカップ(W杯)。アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共同開催だが、トランプ政権に揺れるアメリカの現状は、一体どうなのか。FIFA公式の転売サイトではチケットが3.7億円にまで跳ね上がったことが話題になったが、果たして現地のサッカーファンは観戦できるのか? 在米ライターの堂本かおる氏が寄稿した。(全2回の2回目)

6月8日、W杯大会中の拠点となる米テネシー州ナッシュビルに到着し、公開練習する日本代表 ©時事通信社

◆◆◆

トランプ政権下でのビザの懸念

 W杯関連のビザについては、多くの懸念がささやかれている。

ADVERTISEMENT

 トランプ政権は移民規制を強め続けており、現在、50カ国に対して1万5000ドル(=約240万円)のビザ保証金を課し、39カ国に対してはビザの発行停止(事実上の入国禁止)としている。

 保証金は渡米後のオーバーステイを防ぐための策で、ビザ取得時に保証金を払い、自国に戻れば返金される仕組みだ。対象国には、W杯に出場するカーボベルデ、コートジボワール、セネガル、チュニジアの4カ国が含まれている(日本人に対して米国は短期滞在ビザを求めておらず、保証金についても対象外)。

 W杯出場の選手と関係者は免除されるが、問題は自国から米国にやってくるサッカーファンだ。高額なチケット代、航空券、宿泊費に加えてビザ保証金も支払わなければならず、多くの人が米国会場での観戦を諦めざるを得ない。

売れない高額チケット、戦争、エボラ出血熱の問題も

 米国政府は、高額ゆえにチケットの売れ行きが芳しくなく、ホテル予約も低調と報じられると5月半ばに保証金の免除を決めた。ただしチケット購入者はチケットを提示した上でビザ申請を行わねばならず、試合当日までにビザ発行が間に合うかの心配が持ち上がっている。

 さらにハイチとイランはW杯に出場はするものの、米国は2国を「完全入国禁止国」に指定しており、祖国在住のファンが渡米して応援することは叶わない。

 また、イラン・チームは当初、米国アリゾナ州をベースキャンプにすることになっていたが、米国とイランが戦時下にあることからメキシコのティファナに変更された。ロイター通信によると、「イラン・チームは米国の試合前日には現地入りできる見通し」と米国土安全保障省が発表したという。

 不可抗力の出来事も起こっている。中央アフリカでのエボラ出血熱の流行により、コンゴ民主共和国チームは米国入国前にベルギーで21日間の検疫を受けることとなった。そのため、チームの米国到着はW杯開始日の前日か当日となる見込みだ。