食事のテーブルも、自分はヴェルディの選手といたし、森保監督は福田(正博)さんとか吉田(光範)さんと一緒にいたので、あまり交わることはなかった。

 オフトさんが日本代表監督になってから森保監督は、初陣となるアルゼンチン戦からアメリカW杯最終予選まで、すべての遠征や大会で招集されている。それは森保監督以外では都並さん、勝矢さん、堀池巧さん、福田さん、中山さん、高木さんしかいない。

ヴェルディ川崎時代の武田さん ©文藝春秋

「森保が声を荒げて要求することはなかった」“気遣いポイチ”と呼ばれた森保監督のチーム作り

――オフトの森保監督への信頼は非常に厚かったのですか。

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武田 オフトさんは森保監督を気に入っていたと思います。派手さはないけど試合中に気が利くし、堅実に真面目にプレーするスタイルも評価していた。森保監督がそれに納得していたかどうかは、自分には分からないけど、個性の強いオフトジャパンの中で、自分の役割を考えてピッチ内外で行動していたんじゃないかな。

 だって、前にカズさん、ラモスさんや北澤さんがいて、うしろに哲さんがいるんだよ。みんな個性が強いし、要求なんてできないでしょ。だから、文句を言わずにバランスを取って、ボールを奪ったらラモスさんにパスをつけていた。

 ラモスさんに怒られることはあっても、森保監督が声を荒げて要求するなんてことはなかった。みんなからは、「気遣いポイチ(森保の愛称)」と言われていたけど、まさにそういう感じの選手だった。

――そういう選手だっただけに、それが今の選手選考にも色濃く出ている。

武田 そうだね。遠藤航選手とか、冨安健洋選手とかは好きなタイプでしょうね。森保監督が現役の時とプレースタイルや性格が似ているようにも感じるし。

 今の代表は攻撃で目立つ選手はいるけど、当時の森保監督のようにチームのために貢献してくれる選手をしっかり評価しているよね。

ハンス・オフト監督 ©文藝春秋

――森保監督のチーム作りは、オフトジャパンの時の経験もうまく活かしている感じでしょうか。

武田 先日、川崎フロンターレの長谷部(茂利)監督と話をした時、「当時のヴェルディは個性の強いスター選手がたくさんいた。自分は出られなかったけど、監督になってから、どうすればチームがまとまるのかを考える上で、当時の経験がすごく役に立った」と言っていた。

 森保監督も強烈な個性を持つ選手が代表にたくさんいる中、チームをまとめるにはどうしたらいいのか、選手に伝える言葉やタイミングも含めて、すごく考えていると思うんだよね。それが今のチーム作りに活きているのは、間違いないでしょう。