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警察に呼ばれた男は⋯
林が友人の車庫飛ばしの件で、警察に呼ばれることになり、刑事から事情聴取を受けた。林はそれまで瑠美子さんのことについて、聞かれたことがなかった。
「ところでお前さん、篠田瑠美子さんを知ってるね。彼女がどこへ行ったか知らないか?」
「九州の実家へ静養に行ったと聞きましたけど……」
「それは調べた。その痕跡はない。我々も捜査している間に複雑な事情はよく分かった。だけど林吾郎、瑠美子さんを家族のもとへ帰してやれるのは、アンタしかいないんじゃないのか?」
「……」
「お天道様は何でも見ている。何でも知っている。地球上のすべての生物に光を与える永遠のエネルギーや。瑠美子さんを陽の当たる場所へ出してやるべきじゃないか。悪い心、汚い心で人生を終えるのは、良くないだろう」
ひたすら情に訴えかける刑事を前に、林は泣き崩れ、自ら殺害と死体遺棄を自供したのである。
林は59歳になっていた。
「9年間、苦しかった……。いつか言わなければならないと思っていた。瑠美子には本当に申し訳ないことをした……」
死体遺棄については時効が成立していたため、林は殺人罪でのみ起訴された。遺体は頭部だけしか見つからなかった。9年という歳月は、“犯人”に遺体の隠し場所さえ忘れさせてしまったのだ。