「ナカムラのキックは空手の回し蹴りみたいにエレガント。独特のヘアスタイルも好きだった」
DAZNイタリアのセリエA中継でピッチリポーターを務めるジョヴァンニ・バルソッティが一気にまくし立てる。声のトーンが仕事中より一段高い。
「2002年日韓W杯の後、彼がセリエAにやってきた。当時、小学生だった僕はレッジーナで10番つけてたナカムラに一目惚れさ。何が格好良かったかって、彼の左足のキックフォームだよ。いつの試合か忘れたけれど、1年目のホームゲームで左スミに突き刺したFKゴールが強烈だった。僕は昔から左利きの選手が好きなんだけど、ナカムラのキックはまるで空手の回し蹴りみたいにエレガントなんだよ。彼の独特のヘアスタイルも好きだったなあ」
00年代中盤の欧州サッカー界にはジュニーニョ・ペルナンブカーノ(ブラジル)やアンドレア・ピルロ(イタリア)といったFKの名手たちがいた。バルソッティは職業柄、ミランでプレーした本田圭佑の名前も挙げたが「やっぱりシュンスケが一番」。
当時中村俊輔がプレーしていたのは、南イタリアの弱小地方クラブ・レッジーナだった。欧州には生まれ育った地元のサッカークラブを応援する文化が根付いているが、当時の中村のプレーには遠く離れた北イタリアの小学生だったバルソッティ少年を惹きつけるほどの魅力があったということだ。
「学校のクラスでシュンスケのすごさに気づいていたのは僕だけだったね。(セルティックへの移籍で)スコットランドに行った後、UEFAチャンピオンズリーグでも活躍して“僕の目は正しかった”って自慢したよ」と顔をほころばせた。
その中村は現在、北中米W杯の日本代表にコーチとして加わっている。残念なことにイタリア代表は同大会への出場は逃したが、日本代表で中村コーチが指導していることを知ったバルソッティは「それならW杯ではジャッポーネ(=日本)を応援するしかないね!」と声を弾ませた。
代表やサッカー界から距離を置いていても、今なおイタリア人の心を離さない元日本人プレーヤーはもう1人いる。
98年フランスW杯後、ペルージャに入団し鮮烈な印象を残した後、01年に強豪ローマでスクデット(※セリエA優勝の通称)を獲得した中田英寿だ。パルマ時代にはコッパ・イタリアも制覇し、ボローニャやフィオレンティーナでもプレーした。中田は今も日本人唯一のスクデット・プレーヤーであり、イタリア・メディアによる“あの選手は今”的な企画で扱われることも珍しくない。

