紀伊半島を訪れていた時のこと。昼ご飯を食べようと、スマホの地図アプリを開いて飲食店を検索したところ、あり得ないような山奥にお好み焼き店が表示された。
地図を最大まで拡大しても、道すら表示されない。念のため国土地理院の地図も調べてみた。すると、付近に点線で道が描かれていた。点線の道は歩道を示している。つまり、車が入れない山道だ。
こんな山奥にお好み焼き店が存在するはずがなく、まず間違いなく地図アプリの誤表示だと思うが、万が一ということもある。気になった私は、現地に行ってみることにした。
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間違えれば命に関わるような道に、突如現れたトンネル
幹線道路から曲がって山に入っていくと、一気に道幅が狭くなった。普通車でギリギリの道幅しかなく、急な坂道でグングンと標高を稼いでゆく。みるみるうちに崖下との高低差が大きくなり、ガードレールなど道と崖とを隔てる物は何もない。運転操作を少しでも間違えれば命に関わるような道で、普通であれば進むのを躊躇する局面だが、好奇心が上回っていた。
あっという間に見晴らしがよくなったと思ったら、カーブの先に突然トンネルが現れた。
通常、トンネルはそれなりに重要な道に掘られるものなので、こんな場所にあることに少々驚いたが、トンネルが好きな私としては嬉しかった。5メートルほどの短いトンネル。
掘ったままの岩肌が荒々しい素掘りだと思ったが、反対側に抜けるとこちらの坑口はコンクリートでしっかりと固められていた。
トンネルを抜けると、すぐ先に数軒の民家があった。舗装は消えて砂利道となり、左には洗濯物が干してあり、右は畑になっている。他人の家の庭を走っているようで、とても申し訳ない気持ちになった。さらに犬にも吠えられて、一刻も早く通過したいところだったが、車道が途切れていて進めなくなってしまった……。




