簡素な素掘りトンネルには…

トンネルが見えた

 山肌を削って貫通させた素掘りのトンネルは、とても見応えがある。今でこそ行政がトンネルを掘るのが当たり前になっているが、昔は個人や集落の単位で、自分たちの力だけでトンネルを掘ることも珍しくなかった。畑や山仕事に行くため、隣町に行くため、子供たちの通学路のためなど理由は様々だが、予算も労力も限られるため、簡素な素掘りトンネルであることが多い。素掘りトンネルには、そうした当時の人たちの思いも詰まっているようで、とても魅力を感じてしまう。

素掘りのトンネル

 トンネルは10メートルほどの長さがあり、内部には水たまりができていた。これは、トンネル前後の道路上に土砂が堆積しているため、水はけが悪くなってしまったためだろう。ゆっくりと観察しながらトンネルを通過する。

トンネル内部には水たまりができていた

 反対側の坑口は、石が積まれて固められていた。こちら側は崩れやすかったのだろうか。民家の手前にあったトンネルもそうだが、両側で坑口の様子がここまで異なるのも珍しい。

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反対側の坑口のみ石が積まれ堅牢な造りになっていた

 目的のトンネルが見られて満足したが、なぜこんな場所にトンネルを掘ったのかという疑問が浮かぶ。トンネルができることによって山越えをしなくてよくなり、便利になるのは間違いない。しかし、道を造る側としては、トンネルを掘るよりも迂回する道を造ったほうが楽だろう。ほぼ人が来ることがない現状を見ていると、トンネルの必要性を感じない。この先に、かつてトンネルを必要とした何かがあったのかもしれない。その何かが分かる保証は全くないが、とりあえず先へ進んでみることにした。