「彼氏なんてできないと思っていた」中学時代
――思春期の恋愛で大変だったことってありますか。
うさぎ 私は少女漫画が好きで「ちゃお」「りぼん」「なかよし」あたりを読んでいたんですけど、 当時の少女漫画には聴こえない主人公が全く登場しなかったんです。出てくる全員が聴こえてる前提のストーリーだから「世界って聴こえる人ばかりなんだな。でも自分は聴こえないし……」と、コンプレックスを抱いてしまった。
中学時代はめちゃくちゃ恋愛したかったけど、「聴こえないから彼氏なんてできないだろうな」って思い込んでました。中学3年生までは、クラスメイトにも聴こえないことについて「触れないでほしい」という感じに振る舞っていて、先生から「この子は難聴だから」と説明してもらっていました。
でも高校からは、聴こえないことをまわりに言えるようになりました。それで高校1年生のときに、初めて彼氏ができて。聴こえないことを知ったうえで、私を好きになってくれたから、「聴こえなくてもいいんだ」という自信が持てました。とはいえ、相手の話を全部は聴き取れなくて。当時は、それを「申し訳ないな」と思う気持ちはけっこう強かったです。
人生を変えた“人権作文”の発表
――難聴であることを同級生に言えるようになったきっかけは、何だったのでしょうか。
うさぎ 中学3年生のときに学校の課題で「人権作文」というのを書くことになって、私は自分の難聴のことについて書いたんです。ずっと言えなかったことを全部、その作文に思いのままに。そもそも宿題で提出しなければいけない課題だったから書いたんですけど。
そうしたら国語の先生に「あなたの作文がクラスで一番よかったから、全校生徒の前で読んでほしい」って言われて。「えっ、読むの?!」って(笑)。
耳のことは、今まで自分から言わなかったし、 クラスメイトのみんなもあえて触れないでくれた。でも卒業したら進む高校もみんなバラバラで、きっともう会うこともないし「全部オープンにしてバイバイしよう」「友だちを失うことになっても仕方ない」みたいな覚悟を決めて、全校生徒の前で読みました。

