同作で演じたヒロイン・弥生は、人生のなかで親友を病気で失ったり、震災もあったりと、大きな浮き沈みのある役だ。それだけに中途半端にはできないと思い、オファーを受けてから断るつもりで遊川監督に会いに行ったところ、「弥生は、波瑠という女優にやってもらわなければ意味がない」と言われて心が動き、一転して出演を引き受けたという(「クランクイン!」2020年3月15日配信)。

夫・高杉真宙との馴れ初めは…

 その後も多くの話題作に出演している。2023年のドラマ『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)では、仕事を完璧にこなしながらもプライベートではズボラな会社員が、圧倒的な家事力を持つ職場の後輩を“お嫁くん”として迎えるさまを演じた。

 相手役の高杉真宙(まひろ)とともに撮影をすべて終えたときには、監督から花束を渡されて涙し、《私にとっては長くてとても濃密な時間をスタッフの皆さんと過ごせたことをとてもうれしく思っています》と感謝の思いを伝えている(「WEBザテレビジョン」2023年6月20日配信)。

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ドラマ『私のお嫁くん』クランクアップで(フジテレビ火9ドラマ公式インスタグラムより)

公私ともに大きな区切りを迎えて

 キャリアを重ねれば、作品をつくりあげるうえでの悩みや喜びもだんだん薄れてしまいそうなものだが、このときの涙と言葉からは、波瑠が新人のころから変わらず、一つひとつの作品に対して真剣にアタックしていることがうかがえる。

『わたしのお嫁くん』はまた、のちに夫となる高杉と出会ったという意味でも、波瑠にとって大切な作品となった。二人が初めて顔を合わせたのはドラマのポスターの撮影時で、彼女は撮影する部屋に入ったときに高杉が花を渡してくれたことを、クランクアップの際に懐かしそうに語っている。結婚を発表したのは昨年(2025年)12月、その1年前にはデビュー以来所属したホリ・エージェンシーから独立している。ここ数年で公私ともに大きな区切りを迎えたことになる。

結婚発表とともにウェディングドレス姿も公開(波瑠のインスタグラムより)

 この4月からは麻生久美子とW主演したドラマ『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ系)が放送された。麻生演じる専業主婦と、波瑠演じる作家志望のクラブママが毎回、事件に遭遇しては文学作品をヒントに解決していくという内容で、先週6月10日、好評のうちに最終回を迎えたばかりだ。

 波瑠にとって13歳上の麻生はずっと憧れの先輩で、共演するのは映画『ガール』(2012年)以来14年ぶりとあって、今回のドラマの放送開始前には番宣でタイトルコールを言えたことがうれしくて、《がむしゃらだった頃の自分に「大変かもしれないけど、いいことがあるよ」と声をかけてあげたい》と語るほどだった(前掲、「CLASSY.ONLINE」)。ちなみに二人は奇しくも誕生日が同じである。

 ブレイクするまでの下積み時代と、朝ドラでブレイクしたあとの多忙な時期を乗り越え、波瑠は30代に入って精神的にようやく余裕を持てるようになったのだろう。私生活を充実させながら、作品のなかでもますます輝いていく予感を抱かせる。

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