それは自分に対する裏切りでもあったが、自殺する決意が固いとも映った。その期待に応えるためにも、自分は必ず自殺しなければならない。

現場に今カレは…

 しかし、眞理子は本気で自殺するつもりはなかったのである。平山に対するあてつけで、「騒ぎを大きくして困らせたい」「懲戒免職になればいい」という“復讐”が動機だったのだ。

 山中に止めた車の中で、2人は薬剤を混ぜ合わせ、硫化水素を発生させた。井川さんが苦しみ始めると、眞理子は車の外に出た。携帯電話が通じなかったので、どんどん現場から離れていった。眞理子は平山が現場に来ることを期待していたが、平山は来なかった。

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 逮捕後の眞理子の供述は、説得力に欠けるものばかりだった。

「私も死ぬつもりだった。殺すつもりはなかった。窓を開けて、足から外に出た。すると彼が中から窓を閉めた。私は窓を開けるように言ったが開けてくれず、パニック状態になった。救急車を呼ぼうにも圏外だった。

 中を見ると、彼が『あっちへ行け』と言っていた。私は自殺を止めようとしたんです。それなのに彼に追い返されてしまった。ウソなんかついていません。本当にあったことを言っているだけです。こんなことになってしまって、深く反省しています。遺族の方には本当に申し訳ないと思っています」

 まさに死人に口なし。これほど露骨なケースでも、殺意までは立証できず、眞理子は自殺ほう助罪で起訴された。