顔認識や緊急スイッチも
私が見た資料には、コンテンツ・モデレーションおよび検閲ツールの詳細も記されていた。中国国内の特定の地域――たとえばウイグル人が居住する新疆ウイグル自治区――と中国国内・国外ユーザーとの通信を遮断するための緊急スイッチが用意されると書かれていた。また〈非常事態用コンテンツ・スイッチ〉を使い、「重要な記念日を含む、騒乱が予想されうる時期」(たとえば、天安門事件とそれに続く弾圧が起きた6月4日前後など)に、中国国内外を発信源とする拡散性の高いコンテンツを削除できるとある。
この検閲ツールは、中国人ユーザーによる閲覧数が1万回を超えたコンテンツを自動で精査する仕組みになっている。資料によれば、この〈拡散度カウンター〉は香港と台湾に実際に導入され、すべての投稿について運用されている。
さらに、マークから国家インターネット情報弁公室に宛てて送られる予定の書簡の草稿もあった。そのなかでマークは、へりくだった調子で次のように述べている。
当社ではすでに中華人民共和国サンフランシスコ総領事館と協力し、中国にとって危険となりうるテロ関連サイトの削除を行ってきました。今後も世界各地にある貴国の大使館や領事館と緊密に連携しながら、テロ対策に取り組んでいく所存です。
あらゆるサイトを“テロ関連サイト”と見なす中国
私が愕然としたのは、中国がテロ関連サイトと見なしているもののなかに、人権活動家やウイグル人、法輪功学習者、チベット支援者のサイトが含まれている点だった。中国共産党はウイグル人に対する人権侵害そのものを疑わしいものに見せかけるプロパガンダを拡散するため、有料広告を配信したりまでしている。Facebookは、中国が「テロリズム」と呼ぶものとの闘いにおいて、中国の同盟者となるべきではない。この書簡が実際には送られなかったことを願うばかりだ。
一方で、これとは対極の話として、チームのあるメンバーが送ったメールには、検閲の大半は取るに足らないレベルのものになりそうだと書かれていた。
私たちは、中国のユーザーが生み出したどれほどの量の、どのような種類のコンテンツを、世界の目から遮断しているのだろう。実際のところ、問題とされているコンテンツの多くは、Facebookのコミュニティ規定に違反しているわけでもなければ、中国の法律にも違反していない。ただ当局にとって不都合だというだけだ(たとえば、党幹部やその家族の名前を出して否定的なことを書くなど)。
Facebookのコンテンツに関する基本原則に違反することとデータに関する問題は、次元が違う。(編集部注:同社幹部の)ヴォーンからエリオットへのメールにあるように、「コンテンツのフィルタリングも重要ですが、中国国内にサーバー/データを置くことのほうがもっと重要です。そうすれば中国政府がそれを管理・閲覧できるわけですから」。