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大坂なおみさんの快挙を「素直に喜んじゃいけない空気」にしたのは誰ですか?

2018/09/15
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 浅田真央選手が引退してしまってからというもの、「真央ちゃん以上に好きになれるアスリートなんて出てくるはずないよ、気力の限界、体力の限界……」とウルフばりに推し心からの引退を決意した私の元に、その人は突然やってきたのでした。

 大坂なおみ選手。名前だけ聞いたら、新世界あたりでゴリゴリの「浪花恋しぐれ」歌ってそうな大坂選手。名前はそうでもご本人にスポーツ的な浪花節は皆無で、試合中は全身バネのような鬼サーブを繰り出して相手を圧倒するのに、終われば何事もなかったように笑ってる。「コニチワ〜」って笑ってる。スポーツファンが大好物な、苦闘の末の感動とか余韻とか、そういう空気を完全に無視する他人事感がもうね……好き……。真央ロスの心に舞い降りた、それはそれはテンション低めの天使。

「コニチワ〜」 ©文藝春秋

全米オープン優勝を決めたけど……

 そんな大坂選手が、芸のためなら女房も泣かすどころか、日本中、いや世界中のテニスファン(と私)を泣かせたのは、先日行われた全米オープン決勝。試合はだいぶ大坂選手が押していて、ついにあのセリーナから第1セットを奪取。「もしかしたら勝てるかも……」と期待する私を「バカバカ! アンタそうやって調子こいた挙句5点差で勝ってたのに5点差で負けたりしてるでしょうが!!」とベイスターズファンの私が諌める、謎の脳内ラリーを繰り広げているうちに、マッチポイント。そしてついに大坂選手は自身初の四大大会シングルス制覇を果たしたのでした。

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決勝でセリーナ・ウィリアムズをストレート(6-2,6-4)で下した大坂なおみ ©getty

私にガッツポーズさせてくれなかったのは誰?

 こんなに嬉しいことないじゃないですか。大好きな大坂選手が、悲願の全米オープン優勝。しかも相手はなおみちゃんのアイドル、セリーナ・ウィリアムズ。憧れの存在を倒して女王となった自分の推し。死ぬほど誇らしいはずなのに……私はその時全身全霊のガッツポーズを決められなかったのです。 私にガッツポーズさせてくれなかったのは誰? なおみから天真爛漫な笑顔を奪ったのは何? 大坂なおみ報道が落ち着いてきたところで、満を持してその恨みを勝手にここで晴らしたいと思います。