海を越え、世界中で販売を開始

 2020年、毎日放送の『サタデープラス』で「サンサンスポンジ」が紹介されると、放送終了の5分後に在庫がすっからかんになった。製造上の都合で3カ月待ちになったお客さんもいたが、それでもほとんどキャンセルはなかったという。2014年に年間12万個だった製造数は、2024年に200万個を超え、さらに2025年の夏ごろには250万個を突破。固形洗剤とスポンジの売上構成比は、今や逆転している。

「僕は『洗剤をどうやって販売するか』と、そればかり考えていたんですよ。だから、『スポンジだけを売る』っていう発想がまったくなかった。固い頭が邪魔してたんですね」

 元之さんはそう苦笑したあと、ふと遠くを見るような目になった。

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「……本当はね、自分たちの代で会社を畳もうと思ってたんです。あとは生活できればそれでいいかな、と。なので、今こうして多くのお客さんに愛されているのは、もう夢のような出来事なんですよ」

息子たちが入り、会社は大きく変わったと2人は声を弾ませる ©細田忠/文藝春秋

 近年、同社は海外展開を本格化させてきた。北米・アジア・欧州と、年々取り扱い先が広がっている。Amazon USやインドネシアの大手ECサイト「Shopee(ショッピー)」でも販売をスタートさせたところ、「Best quality sponges.(最高品質のスポンジ)」「Great Sponge!!!(素晴らしいスポンジ)」と購入者から高評価が寄せられている。

 雄哉さん曰く、「海外には日本以上にいいスポンジがない」らしい。日本と同じく、海外の市場も安価な製品が主流で、「サンサンスポンジ」と同等の価格帯のものはあまり存在しないようだ。

「『少し値段が高くても、品質の良いものを求めている方々がいる』ということを、国内で証明できました。ということは、世界にもきっと同じように感じているお客様がいるはずです。自社と同じ価格帯で勝負しているメーカーさんはいないけれど、そこでチャレンジしていきたいというのが、今のモチベーションにつながっています」(雄哉さん)

「安いものを買っては捨てる」を繰り返すのではなく、良いものを長く使う——。大量消費からサステナブル消費へと価値観が変わりつつある今、小さな家族経営の企業が半世紀前から貫いてきたものづくりに、時代がようやく追いついてきたと言えるだろう。「無料で配っていたオマケ」が世界で求められる日が来るとは、創業者は想像していただろうか。

©細田忠/文藝春秋
最初から記事を読む 「洗剤のオマケ」が大ヒット商品に大化け…4人家族が「年間250万個」を売る“お化けスポンジ”の正体

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