「日本食がそこまで浸透しているのか」納豆づくりを事業化した“きっかけ”

――最初の納豆づくりはどのように。

綾花 近所の日系スーパーのおじさんに相談したら、なぜか納豆菌の粉を持っていて、20ドルぐらいで売ってもらえたんです(笑)。大豆はネットでオーガニックの小粒大豆を注文して、オーブンで発酵させていました。

 その後はパンを発酵させる機械を買って、それを使うようにして。だいたい40度で20時間発酵させて、そこから一晩冷蔵庫で寝かせるというのが基本の工程です。

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 最初はおいしくなかったんですが、漬け込む時間を変えたり、発酵温度を調整したり、トライアル&エラーを繰り返していくうちにどんどんおいしくなって。週に1回ぐらいは納豆を作り置きして、夫と食べていましたね。

夫とのツーショット(本人のXより引用)

――「自分で食べるため」から「食べてもらいたい」と事業化したきっかけは。

綾花 『ザ・メニュー』(2022年)という映画を見たときに、料理評論家のキャラクターが「梅干し」って言葉を言ったんですよ。

 こんなところで梅干しが出てくるのかと驚いて。ちょうど同じ頃に夫の前妻に日本からのお土産に何がほしいか聞いたら、「梅干しと沢庵がほしい」と頼まれたんです。

 日本食がそこまで浸透しているのかと思って、じゃあ納豆もいけるんじゃないかと思い始めたんですよ。

 夫も起業には大賛成な人なので、「納豆屋をやればいいじゃないか」と言ってくれて。

「このスペースを借りたいんですが」と直談判して工場を確保

――工場の確保はどのようにしましたか。

綾花 夫とジョギングしていたときに、いい感じの建物があったんですよ。大家さんのところに行って「このスペースを借りたいんですが」と直談判したら貸してくれました。場所はあっさりと見つかりましたね。

 発酵食品は食品衛生上、家で作ったものは売れないんですよ。アメリカの規制で、コマーシャルキッチン、つまり企業向けのきちんとした厨房設備を用意しないといけない。最初はシェアキッチンを申し込んだんですが、「納豆は菌が他の食品に移るから」という理由で断られてしまって。

 

 それなら自分で作るしかないということで、壁の工事業者、電気屋さん、水道の業者さんなどを手配して、コマーシャルキッチンの規制に合わせた改装をしました。3つシンクがある流しが必要とか、非常口のドアが何個必要とか、いろいろ細かい規制があって、準備に半年ぐらいかかりましたね。