運動や体操が「体にいい」というイメージは、多くの人が持っているだろう。では、具体的に運動によってどの程度の改善が身体に見られるのか。フリーライターの中村徹氏が、有識者へのインタビューから探る。

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手軽な体操でも絶大な効果が

「運動が王様、栄養が女王様。それを組み合わせて王国を築こう」

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 ジャック・ラレーンという人物をご存じだろうか。

 1930年代に米国初のフィットネスジムを開設し、当時画期的だった様々なトレーニング用マシンを考案。運動効果を高めるためのプロテイン摂取を啓蒙し、時代に先駆けて健康意識の重要性を広く知らしめたことから「フィットネスのゴッドファーザー」の異名で知られた。2011年に96歳という長寿を全うしたジャックは、亡くなる数年前まで1日数時間のハードトレーニングを続けていたといわれる。

(写真はイメージ) ©graphica/イメージマート

 冒頭の言葉は、彼が生涯訴え続けたメッセージだ。

 ジャックが喝破したように、運動と食事は我々にとっての“王国”すなわち「健康で機能性を維持した身体」を作るために不可欠なものだ。

 とはいえ無論、90代までハードなトレーニングを積むなど、ほとんどの高齢者にできることではない。

 また、厚生労働省は「運動習慣のある者」を「1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者」と定義しているが、この定義すら、高齢者にとっては低いハードルではない。じっさい、この定義にかなうのは65歳以上男性の49.6%、女性の40.6%にとどまっている(令和6年「国民健康・栄養調査」)。

 このくらいの運動をしなければ、高齢者は健康を維持できないのだろうか。否。もっと手軽な“体操”でも、十分に効果は期待できる。

 東京大学医学部附属病院の肝胆膵外科から総合診療医に転じたという異例のキャリアを有し、「町のお医者さん」として年間3万人以上の患者と向き合っているひまわり医院(東京都江戸川区)の伊藤大介院長は、こう指摘する。

「運動習慣がない人が1日10分、身体を動かすと死亡リスクが9%低下するという報告があります。乗り遅れそうなバス停までの早足、荷物を持って階段を小走りで上るなど、『1〜2分の息が上がる運動』を1日に3〜4回、合計でもわずか数分行うだけで死亡率は最大40%も下がるというデータもあるんです」

 なんとも心強いデータだ。

「平日多忙なら、休日にまとめて運動する『ウィークエンド・ウォリアー』というスタイルでもOK。約35万人を対象にした調査で、毎日運動する人と、休日だけ集中して運動する人は、ほぼ同等の死亡率改善効果が認められています。ぜひ『ちょこちょこ運動する習慣』を心掛けて下さい」(同前)