「私の教えている白鴎大学は、小中学校の先生を目指す学生が多いんです。ところが私の経験でも中学、高校で近現代史を深く学んだ記憶がない。そこで私の授業では、いまにつながる平成時代の日本や国際社会の動きを教えています」
と後藤謙次さんは語る。『報道ステーション』でお馴染み、共同通信の敏腕政治記者として鳴らした後藤さんが、その授業をベースにして書き下ろしたのが『10代に語る平成史』だ。
「昭和から平成の改元の際には、私は竹下内閣の小渕恵三官房長官の番記者でしたから時代の変わり目を間近で取材しています。それを出発点に政治、外交を中心に沖縄問題、日朝関係についてなど、いくつかの項目に分けて記述しました。多くの若者たちに平成の時代の大きな流れを立体的に理解してもらえるよう心を込めました」
一般教養として社会人にもおすすめの1冊だが、後藤さんは現役の若い記者たちにも読んで貰えたらと願う。
「私たち記者は、学問や研究分析では学者の足元にも及びません。ただ日々の取材現場で、公開情報ではない当事者たちの肉声を聞いてきました。リアルな史実の一端が読者にも伝わってくれればと思いますね」