今年の初めに千葉県習志野演習場で開催された「空挺降下訓練始め」で初公開された、4本足歩行犬型ロボットがオペレーターを「引き連れ」、観客席の間から現れたのである。この4本足歩行犬型ロボットも、場内アナウンスではUGVと紹介された。
それだけでなく、装輪型(タイヤ履き)と装軌型(キャタピラ)、さらに「偵察型」「輸送型」「攻撃型」各1両ずつ計6台のUGVが、雨をたっぷり含んだ東富士演習場の泥地の上を難なく、衝突することもなく走り回るのである。
側面にはエストニアの軍需産業の「ミルレム・ロボティクス社」のエンブレムが描かれていた。これが、ウクライナでロシア軍を震え上がらせた「テミス」であろう。
もう1社はカナダのラインメタル社の「ミッション・マスターSP」に違いない。いずれも現在は陸上自衛隊富士学校が保有し、研究開発が続けられている。さすがにUGVによる完全自動の実弾射撃はまだ安全上の不安があるのか、実施されなかったが、ウクライナではすでに、このUGVが様々なタイプにカスタマイズされ、地雷原や最前線ではウクライナ兵の先頭に立ち、危険な任務を担っている。
無人砲塔からの機関銃射撃が見事命中
さらに、今回初めて実弾射撃を披露したフィンランドのパトリア社開発のAMV(新型装輪装甲車)も登場。車体上部の無人砲塔からRWS(リモート・ウェポン・システム)という装甲車内からの遠隔操作により、走行時にもかかわらず12.7mm重機関銃の射撃を実施し、見事目標に命中させていた。
あのSF映画の金字塔となった「エイリアン II」の「完全版」には、次々湧いて出てくる凶暴なエイリアンに自動照準で機関銃弾をバラバラ浴びせバラバラにしていく「セントリー・ガン」なる兵器が2基登場していた。そんなSF映画の世界が現実になりつつあるのである。いや、すでにウクライナでは実戦に使用されているのである。
安価で高性能なドローンの国内開発・製造が急務
今年の総火演ではそんな日々進化し続けるドローンをSMASHという光学機器を装着した20式小銃や5.56mm機関銃で実際撃墜する射撃や、ウクライナでの「実戦」で見直された、第1次大戦時の塹壕戦を彷彿とさせるような白兵戦闘も公開された。
来年の総火演には、敵のドローンを迎撃するためのドローンが公開されるかもしれぬ。武器の性能がより進化し、その使用目的が多様になれば、それに対抗する装備も次々と出てくる。それが「矛と盾」の時代から変わらぬ、人間の性なのである。まあ総火演が来年も開催されればええんやが……。
そんなUGVに加え、射程距離が長すぎるため、東富士演習場どころか日本国内でさえ実弾射撃が実施できない、スタンド・オフ・ミサイルも紹介された。
その射程距離たるや千キロ以上と言われる12式地対艦誘導弾の能力向上型や、25式高速滑空弾のランチャー(発射機)も公開。敵の射程外からも敵基地攻撃が可能になる、いわゆるスタンド・オフ・ミサイルの配備が進めば、敵侵略からの抑止力には役立つであろう。
だが、いかんせん、高価である。やはりより安価で高性能なドローンの国内開発、製造は急務であろう。



