熱い視線が送られる16式機動戦闘車
しかし、そんな「陸の王者」戦車の地位に取って代わり、ブイブイ言わせるようになったのが、16(ヒトロク)式MCV(機動戦闘車)であった。
10式、90式戦車より若干火力の小さい105mmライフル砲を主砲に備えながら、10式戦車より18トンも軽い車体を8輪のタイヤが支え、舗装路なら時速100km以上で走れる。実際、この16式MCVは首都高を一般車両と一緒に走ったこともある。
そんな16式MCVは、雨をたっぷり含んだ泥地の演習場でも難なく走行。それと同時に、10式戦車にも搭載されている、敵情報まで友軍同士で共有できるという10(ヒトマル)ネットワークや、前進後進・スラローム走行中でも、どんな車体姿勢からでも目標をロックオン(照準)し続けられる優秀な射撃管制装置を駆使して、一斉射撃時に全弾命中を成功させたのである。
この16式MCVには本総火演に武官を視察派遣させた外国軍も熱い視線を送り、フィリピン軍はすでに「輸入」に向けて交渉のテーブルに乗せているのではないかと期待されている。
しかし、かようなMCVはじめ有人兵器も、いつまで見られることやら……。ドローンやロボットの開発に血まなこになっている中国が武器を携えた2本足歩行ロボットを、台湾や我が国・沖縄県尖閣諸島に送り込んでくるのは、さほど遠い未来の話でもなかろう。
ドローンの数と性能とオペレーターの優劣が戦況を左右する時代
そんなロボットを自衛隊のUGVが迎撃するようになれば、機械同士が戦い合い、その優劣が戦況を左右するようになる。
いや、現在のウクライナ軍とロシア軍の戦いを見れば、とっくにそういう時代になっていることを認めざるをえない。もはや将兵の練度よりドローンの数と性能とオペレーターの優劣が戦況を左右しているのである。
我が国もドローンの開発に合わせた、優秀なオペレーターの育成が急務であろう。充分な数のドローンと優秀なオペレーターを配備するまで、何も起きなければええのやが……。
総火演のような実弾射撃演習が役立つようになる事態がいつ訪れぬとも限らぬ。我が国を取り巻く安全保障環境がこれ以上厳しくなれば、自衛隊は総火演すら開催する余裕がなくなるであろう。
総火演はそういう意味では日本が「まだ」平和を保てている証左とも言えようが、来年も見られる保証はあるのであろうか。
なんとか、不肖・宮嶋の目の黒いうちは、いやこのままずっと、総火演は続けていただきたいもんである。敵の砲弾が空から降り注ぎ、沖縄には敵上陸部隊が大挙して上陸しだし、自衛隊が総火演で使用したような武器で迎撃……なんて現場は見たくないもんである。そのための日頃の訓練と防衛装備の充実である。
撮影=宮嶋茂樹

