凄惨な事件ですが、日本で検挙される殺人事件の約半数は、親族間で起きているというデータがあります。残念ながら、日本でこのような事件は珍しくありません。
ただこの事件には、他の親族間殺人とは違う点もありました。息子は何を思ったのか、母親を殺したあとに水道の蛇口を全開にして、そのまま放置したのです。
水は、徐々に部屋を満たしていきます。このマンションは鉄筋コンクリート造でしたが、わずかな隙間から水が伝わり、下の階へと溢れていきました。そう、下の部屋に垂れてきたのは、殺人事件の部屋から溢れ出た水だったのです。
遺体は血を流して放置されていたわけですから、部屋を満たす水にも当然、血は混ざります。大量の水で薄められていますから、1階に伝わった時点では赤くはありません。ただ確実に、遺体が浸かり、血液が混じった液体が、1階の部屋にはしたたっていたのです。
殺人事件が起きた2階の部屋は「事故物件」だが⋯
さて、殺人事件が起きた2階の部屋は、間違いなく事故物件と言えます。では水が漏れてきた下の部屋はどうなのでしょうか。
先述したガイドラインによると、集合住宅における告知義務はあくまでも部屋単位。ある部屋で殺人事件が起きたとしても、その下の部屋に対して告知義務はないとされています。しかし、今回はどうでしょうか。殺人事件の被害者の血の混じった水が漏れた部屋も、事故物件とされるはずです。
周辺の部屋が事故物件であることは調べられない。このような状況は、大きな問題だと考えています。
大島てるで調べれば、事件が起きた部屋は見つけることができます。事故物件は嫌だと考えていれば、別の物件を探すことになるでしょう。しかし、もしもあなたが「事故物件の隣や真下の部屋もちょっと嫌だなあ」と考えていた場合、それを避けるのは少し難しいのです。
