住人同士の激しい口論から発展した、ビール瓶による殴打事件。東京都足立区にある小さなビルで起きた惨劇は、悪夢の始まりに過ぎなかった。3年後の住人の自殺、さらにその直後にはビルのオーナーが何者かに殺害され……。わずか4年で3人が命を落とした「史上最悪の事故物件」とは? 事故物件サイト管理人の大島てる氏の新刊『大島てるの怪談部屋 ヒトコワ事故物件』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
史上最悪の事故物件
いきなりですが、事故物件とはどのような物件を指すのでしょうか。一般的には、自殺、殺人、火事、孤独死などで死者が出たことにより、住む人が嫌がる物件のことを言います。こうした物件は心理的瑕疵――裁判例によると、目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥――があるとされ、宅地建物取引業者(宅建業者)は契約者に対して事前に告知する義務があります。
この意味において、私が知っているなかで最悪の事故物件と言えるのが、東京都足立区にある物件です。
建物は3階建で、普通の一戸建よりは大きく、小さなビルくらいの規模。1階には美容院があり、その奥には美容師でありビルのオーナーでもある60代の女性の自宅がありました。2階と3階は賃貸物件として貸し出されており、入居者が住んでいました。
事件があったのは3階です。住人同士が飲み会をしている最中、ちょっとした言い争いが起きました。酒の影響もあったのでしょう、激しい口論となり、一方が空のビール瓶でもう一方の頭を殴打します。
フィクション作品だと、ビール瓶で人の頭を殴ると瓶がパリーン!と割れて断面がギザギザになることがありますが、実際はそんなことにはまずなりません。ビール瓶は非常に頑丈にできているため、割れるのは頭のほう。殴られれば頭蓋骨が陥没するなど、命が危険にさらされます。
