──移動って毎日のことなのに、そのたびに積み重なっていく。

さしみちゃん この間ふと数えてみたんですけど、家から会社までの片道で15回もエレベーターに乗らなきゃいけないんです。譲らなかった人にとっては「1回だけのこと」でも、私からしたら数分の待ち時間が何度も積み重なっていくから、2時間くらいは早く準備しなきゃいけないんですよね。

 

──駅で車椅子の人がスロープを待ってる姿もよく見かけます。

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さしみちゃん 会社の同期と「お疲れさま」って改札で別れた後も、私はそこから駅員さんが来るまで20分くらい待つんです。乗車駅だけじゃなくて降車駅でも準備してもらう必要があるから、その手配に時間がかかって。そのうえ「次の次の次の電車に乗れる“かも”しれません」って言われるんです。

電車に乗るためだけに40分待つことも

──それだけ待っても「かも」なんですね。

さしみちゃん スムーズなときは10分くらいで済むときもありますけど、40分くらい待たなきゃいけないときもあって。電車に乗ってから用事を思い出して「やっぱりここで降りよう」ってこともできないですし。

──時間の決まった予定があるときは特に大変ですね。

さしみちゃん 就活のときは本当にきつかったです。遅刻して落ちたことも、予告されてなかったエレベーターの工事があって面接会場にたどり着けなかったこともありました。もちろん2時間とか余裕持って出てるんです。それでもスロープ待ちが予想以上に長引いたり、エレベーター待ちが何回も重なったりすると2時間の余裕が全部潰されちゃうんですよね。それに就活時は黒髪でリクルートスーツだったのでナメられることも多くて。

 

──ナメられるとは?

さしみちゃん 乗る電車の案内を受けて、なるべく早く着いて準備もしたいので「もう少し早めることってできませんか?」って聞いたら「できねえよ」ってキレ気味で言われたことがありました。

 ほかにも空いてる電車なのにおじさんが異様に近寄ってきたことがあったんです。車椅子に座ってると立ってる人の股間の位置がちょうど私の顔の辺りになって、そうやって触らないけど股間を押し付けてくるタイプの痴漢がいて。

──車椅子スペースでは逃げ場もないですよね。

さしみちゃん そうなんです。スペース自体が限られてるので、どんどん端に追い込まれていって。面接に行く途中なので通報もできなくて、どうしようって思いながら時間が過ぎるのを待つしかなかったです。派手な格好のときだとほとんどそういうことはないので、やっぱり見た目で選んでるんだなってわかっちゃって。