〈あらすじ〉

 2015年、アサド大統領による独裁政権下のシリア。内戦の激化を受け、北部の町アレッポの病院で働いていた医師アミラ(ヤスミン・アル・マスリー)は、娘と共に国境を越え、安全な場所へと避難することを決意する。一方、国境警備の兵士ムスタファ(ヤヤ・マヘイニ)は、政権を守るためなら子供の処刑も辞さない政府軍に不信感を抱き始めていた。

 また、トルコのエーゲ海に面した町に住むマルワン(オマール・シー)は病弱な息子とアメリカで暮らす資金を貯めるため、難民をギリシャ行きのボートに乗せる密航業で荒稼ぎをしていた。そのボートに乗り込んだのが、詩人のファティ(ジアド・バクリ)とその妻子たちだ。しかし予期せぬトラブルに見舞われてしまう。そんな彼らを発見したのが、ギリシャの沿岸警備隊の船長スタヴロス(コンスタンティン・マルクーラキス)だ。彼は人命救助に全力を尽くすのだが――。

〈見どころ〉

 5人の人生が次第に繋がっていく5章構成。臨場感あふれるドキュメンタリータッチの映像。

実話をもとにシリア難民の現実を描くスリリングな群像劇
敏腕映画プロデューサーで人道支援活動家でもあるブラント・アンダーセン監督が、信念を込めて完成させた長編映画デビュー作。アカデミー賞実写短編映画賞のショートリストに選出された自らの短編映画『Refugee』(20)を原作として再構築したもの。ベルリン国際映画祭ほか世界の映画祭で41冠を達成。

© 2025 Refugee The Film.LLC 配給:ハーク
  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆戦禍に遭遇する悲惨と苦痛やサバイバルの苛酷さを、複数の人物を交錯させながら描いているが、どこかで見たことのある表現が気になる。苦痛を観客の深部に伝える前に人物の間で目移りさせてしまったのは、話法の弱点か。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★固定やズームのカメラワークと彩光の効果、場面の切り替え、時間のシャッフル、切実に生き延びたいという想いと現金の暴力が、深く鋭く心身に刺さる。物語は残酷で恐ろしいのに素晴らしい演出と結末。見逃せない104分。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆人道主義に基づく因果の連鎖をマルチスレッドストーリーの形式で描く。かなり露骨に『クラッシュ』や『バベル』を参照したような作りながら、名のあるプロデューサーが自身初の長編監督作に込めた熱っぽい愚直さに惹かれる。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆今も尚続くシリア難民危機問題。登場人物を感情的に捉える手持ちカメラの映像。だが感情過多なので観る側に考える余白が欲しい。冒頭のトランプタワーが映る場面が、強く複雑な痕跡を残し続け苦しくなってくる。

  • ゲスト評者
    竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)

    ★★★★☆「超大作」と評しても過言ではないほど、難民たちが置かれる苦労や理不尽をあまりにもリアルに描く。本作で内戦の歴史の全てを知ることはできないけれど、戦争が生み出す様々な人生の苦しみから一切目を背けさせない。

    たけだだにえる/1997年生まれ、アメリカ出身・在住。「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆、研究。2023年「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞。著書に『世界と私のAtoZ』、『アメリカの未解決問題』(共著)など。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
医師アミラを演じるヤスミン・アル・マスリーは、レバノン出身の国際的女優。ベルリン国際映画祭での会見で、パレスチナ人女性として同胞を守る責任を語り、「今すぐ停戦を」と訴えた。
© 2025 Refugee The Film.LLC 配給:ハーク
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『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』
公開中
監督・脚本:ブラント・アンダーセン
2024年/米・ヨルダン・パレスチナ/原題:I WAS A STRANGER/104分
https://hark3.com/stranger/