俳優・歌手の倍賞千恵子が、この6月29日に85歳の誕生日を迎えた。大ヒットシリーズ『男はつらいよ』で渥美清演じる“寅さん”の妹・さくらを演じ国民的女優の地位を確率した彼女だが、その裏ではある葛藤も抱えていた。(全3回の2回目)

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『男はつらいよ』は1969年8月、フジテレビで放送されたテレビドラマの映画化として第1作が公開された。倍賞千恵子は28歳だったこのときから主人公の車寅次郎(渥美清)の妹・さくらの役で出演する。

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『男はつらいよ』の台本をもらうと、そこに出てくる人物や光景が倍賞の育った東京の下町と重なり、近所には寅さんとさくら兄妹の叔父夫婦(おいちゃんとおばちゃん)のような人もいたし、さくらがおいちゃんたちと暮らす団子屋の裏には印刷屋があるけど、自分の実家の裏にはガラス工場があったな……などと思い出しながら読んだという。

24歳当時の倍賞千恵子(1965年撮影) ©文藝春秋

 ただ、さくらのキャラクターは倍賞自身とはまったく違うようだ。監督の山田洋次からは「アパートにミシンがあって、せっせと踏んでるミシンのそばには、いつも文庫本が置いてあるような人がさくらさんです」と説明されたが、本人からすれば《「ウフフ、すいません、私、そんなんじゃないんです」って(笑)。私はけっこう行動派っていうのかな、おっちょこちょいで、ちょっとがさつだと言われるんです》という(『週刊朝日』2009年3月20日号)。