当時、私は、できればお化粧をしたくない。肌の手入れなんて面倒くさい。若い頃からシワが多いけれど、まあ、シワの多い家系だからしかたないさ。お洒落な服は着たいけれど、そんなにセンスが良くないし、お金をかけるのは嫌だし、ことに「インタビュアー」という仕事は黒子的な存在だから、むしろ派手にせず、ごくシンプルなモノトーンの服を着ていたほうが、お相手に対して失礼にならないのだ。そういう考えで万事通しておりました。

そして美輪さんと対談をするためにご自宅へ伺ったときも、白いTシャツと黒いパンツ、上に黒いジャケットを羽織って参じました。

「女であることにあぐらをかいている」

インタビューの途中、暑くなったので、ハンドタオルで汗をぬぐい、上着を脱ぎ、白いTシャツと黒いパンツ姿になりました。その格好で、質問を続けていた折、私が美輪さんのご本の中に、

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「『色気のある女になりたい』と思うのなら、自分を美しく見せようという意識、些細な行動にもいたわりと思いやりをこめる生活習慣を忘れないことです」

と書かれていたことに感銘を受けたとお伝えし、

「私、色気がない、色気がないって、いつも言われるんです。どうすればいいのでしょう」

すると美輪さん、

「上品な優しさが大事なのよ。それは、あなた持っているから十分よ」

そう褒めてくださったあと、

「でも、あなたって動きがまるで憑き物がついたみたい。なんかヒョコヒョコしてるじゃない。でも、それとこれとは別。十分色気はあるぞよ」

太鼓判を押してくださったあと、しばし私を上から下まで観察なさるので、

「どうか言葉を選ばないで、全部おっしゃってください」

叱られることを承知で向き合うや、「お、言わいでか、覚悟しや。その格好(白いTシャツと黒いパンツ)ったら、何もかも諦めちゃった体育の女教師みたいなものだわよ!」

ショック。でも、なんと言い得て妙であることか!

まだ更年期も閉経も迎えるはるか以前の話です。まあ、それはさておき、美輪さんに言われた、「女は女であることにあぐらをかいている」という言葉はその後もずっと頭に残りました。