島倉にしても、堀尾を好きになり、懇(ねんご)ろになったのだから、細木に対して一種の疚(やま)しさがある。「あのとき私から持ってったお金返してよ」などとは言いにくい。

細木と堀尾の仲はこのころ一時冷えたようだが、堀尾の晩年、堀尾は細木の京都の豪邸を訪ねて、そのまま細木の世話になり、病身を養っている。あげくに墓まで細木家の墓の隣に建ててもらっている。

細木の生涯とは、まさしく、天国でまで結ばれるほどの、やくざと二人三脚で駆け抜けた一生だったといえよう。

溝口 敦(みぞぐち・あつし)
ノンフィクション作家
1942年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』などがある。
次のページ 写真ページはこちら