今年6月に東北楽天ゴールデンイーグルスの監督に就任し、かつては大谷翔平や佐々木朗希らも指導してきた吉井理人。実は彼こそが「FA権を行使してメジャーへ移籍した初の日本人選手」だった。

 かつて近鉄バファローズに所属していた若き日の吉井は、後輩・野茂英雄の“掟破り”のメジャー挑戦をどう見ていたのか。喜瀬雅則氏の新刊『革命前夜 追憶の近鉄バファローズ1994』(文藝春秋)より、球団から「アホか」と一蹴されながらも燃やし続けた、吉井の秘めた野心と“衝撃の原体験”をお届けする。(全3回の3回目/はじめから読む

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「とにかく大リーガーになりたい」

 吉井理人は、自らの憧れでもあったメジャーの世界で活躍する野茂の姿が「衝撃でした」と振り返る。

「野茂の実力なら、いけるだろうなという風には思っていたんです。でも、ホントに行って、ホントにそうなるとは思わなかったんです。野茂の活躍は見ていて、自分の日本での投球には、モチベーションとしてかなり影響はありました。おー、あいつ、頑張っとるなと。午前中、野茂の試合を見て、夜、自分が投げるということも何回かありましたからね」

吉井理人と野茂英雄 ©西山和明

 2023年から3年間、吉井は千葉ロッテの監督を務めた。

 3年目の2025年こそ最下位に終わったものの、1年目は2位、2年目も3位と、2年連続でチームをクライマックスシリーズ(CS)に進出させた。また日本ハム、ソフトバンク、ロッテでは投手コーチを歴任、その間、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平、同・佐々木朗希ら、メジャーへ渡った逸材たちを育成、マネジメントするなど、球界内でも高い評判を得ている名指導者の一人でもある。