「インターネットで義姉と連絡が取れないでしょうか?」
ある日、定年後短大に来られた校務員さんと、インターネットの話題になり話をしていた。
「実は、ロサンゼルスに妻の姉が一人暮らしをしていて、2か月前から電話が繋がらなくなったのです。妻は姉のことが心配でして、このインターネットで義姉と連絡が取れないでしょうか?」
なるほど。インターネットの話を聞きたいというのはこのことでしたか。
早速、BBSやNetNewsを検索し、「ロサンゼルス日本人会」だったと思うが、義姉さんの繋がらなくなった電話番号とフルネームを投稿した。
返事は返ってくるが「申し訳ありませんが知らないです。見つかることをお祈りしています」とのこと。
私は「あ! ロサンゼルスに1人だけ知り合いがいた! E-mailを使っている!」と思い出し、早速E-mailで事の次第を書き込んで送信した。送信しても1時間に1回の接続だし、返事が来るかはわからないし夜遅かったので、校務員さんに、結果は明日以降になりますと伝えて帰宅した。
「インターネットというのは凄いもんですなぁ」
結局、あきらめかけていた3日後にE-mailがロサンゼルスの知り合いから届いた。
〈校務員の義姉さんと連絡が取れました。
最初は私も繋がらなかったのですが、調べてみると
電話が繋がらなかったのは市外局番が変更されたせいで
義姉さんに電話が繋がったのです。
「なぜ貴方が私の電話とフルネームを知っている?
私は近くの葬儀屋に、私の葬式代を預けている
いつ迎えが来ても良いように」
と義姉さんが電話口で語ったとのこと。
短大の校務員さんご夫婦からの依頼だと義姉さんに告げて
妹さんの名前を言うと
「それは私の妹だ」
と返事があり、やっと信じてもらえたとのこと。〉
ロサンゼルスの知人に、まずは深い感謝のメールを返信し、その後、届いたE-mailをプリンターで印刷して校務員さんご夫婦に手渡した。
「インターネットというのは凄いもんですなぁ、本当にどうお礼を言っていいものやら、ありがとうございます」と感謝の言葉を頂いた。
この時、(環境が整っていれば)海外とも簡単にE-mailでやり取りが出来る便利さを実感したことを今でも忘れない。
当時は携帯電話があまり普及してなく、勿論一般家庭からモデムでPPP接続などまだ出来ない時代だった。